日本アパレル・ファッション産業協会(北畑稔理事長)は、ファッションを軸にアート、フード、音楽などさまざまなカルチャーを集積するイベント「東京クリエイティブサロン」を2020年3月15~31日に都内で開催する。10月18日に都内で行われた記者会見で、同イベントの実行委員長に就任した廣内武オンワードホールディングス名誉会長が発表した。東京都の支援、経済産業省の後援のもと開催し、実行委にはオンワードホールディングス、三越伊勢丹、三菱地所、三井不動産、東急の5社が参加する。
開催エリアは日本橋、丸の内、銀座、渋谷、代官山に分かれ、実行委の5社がそれぞれのエリアで独自のテーマを設けてイベントを企画・運営する。核となるのは、渋谷の各所で行うファッションショー「渋谷ファッションウイーク」。第12回を迎える同ショーでは俳優の松岡茉優、ファッションディレクターの干場義雅をゲストに迎え、若手デザイナーがランウエイショーを披露する。さらに期間中は、従来バラバラの日程で行われていたアートや音楽などにまつわるイベントを同時実施するとともに、新しい企画も盛り込む。
廣内実行委員長はイベント開催の狙いについて、「ファッションの世界において、東京は4大都市(パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨーク)に遅れをとっている。その距離を縮めるためには、文化的な取り組みを一同に集め、大きな流れを作って世界に発信する拠点を作る必要がある」と述べた。イタリアで毎シーズン開催される家具展ミラノ・サローネを引き合いに出し、「(同イベントは)小さな家具市から始まり、今や一度に100万人以上が訪れ、自動車など他産業も関わる見本市に成長した。『東京クリエイティブサロン』もそこを目指す。ファッションのみならず、さまざまな産業を巻き込む一大イベントにしていきたい」と展望を語った。イベントに盛り込む企画の内容などについては「全て未定」としながら、「東京を世界に発信していく、そのスタートラインに立てたことがまず重要だ」と強調した。
東京五輪を直前に控え日本に注目が集まる中、文化的な側面を世界にアピールする狙いもある。記者会見には東京都の小池百合子知事も駆け付けた。「日本は元来、繊維産業に長けた『糸へん』の国。イベントの舞台は、どれもおしゃれでインスタ映えする地域ばかり。日本の伝統、文化を地域特性と結びつけ、(来年の春は)東京にファッションの桜を咲かせてほしい」とエールを送った。