「プラダ(PRADA)」2020年春夏コレクションのキーワードとなったのは、「複雑さに対する解毒」。キッドモヘアで仕立てたジャケットやコート、素朴な風合いのコットンリネンを用いたサマードレスやスカート、リブ編みのニットポロなど、種類を絞りつつタイムレスなアイテムをそろえた。ボタニカルなモチーフや1970年代調のパターンをあしらったものもある。そんなアイテムをコーディネートしたルックに合わせるヘアメイクには、シンプルでありながらクラシックなムードが漂う。
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パット・マクグラス(Pat McGrath)がリードを務めたメイクアップは、他ブランドでも多く見られたヌーディーでナチュラルな仕上がり。眉の形やそばかす、肌の色など、モデルの生まれ持った個性を生かしている。ただし、その中で7人には、眉をブリーチして、目のすぐ上に筆で描いたような部分的にかすれた黒の太いラインをプラス。その強い印象に負けないよう、口元は鮮やかな赤のマットなリップを指で塗り仕上げた。
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ヘアのリードアーティストは、グイド・パラウ(Guido Palau)。まず、ジェルを使ってトップから綺麗なサイドパートを作り、「レッドケン(REDKEN)」の“フォースフル23(FORCEFUL 23)”ヘアスプレーで光沢を出しながらコームとドライヤーでタイトにまとめた。ポイントは、ボーイッシュな雰囲気を表現するため、左もみあげ部分に施したカール。裾は固めすぎずに柔らかなニュアンスを残した。
ヘアスタイルのインスピレーションについて、「少し1920年代の雰囲気を取り入れた。クラシックで、少しボーイッシュなイメージだ。シンプルでありながら、それをまた新しく感じられるところが気に入っている」とパラウ。「ミウッチャ・プラダはある意味、常にボーイッシュな世界をモダンに感じさせてくれる人。彼女と共にルックを作り上げていく中で、ボーイッシュでいい意味で少しスノッブというイメージを共有していた」と続ける。また、トレンドについては、「トレンドという概念は、オールド・ファッションだと思う。強いて挙げるとしたら“自分らしさ”で、あらゆるタイプの女性を含むダイバーシティー&インクルージョンを意味している」と話した。
JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める