日本の伝統工芸の技術を用いたベビー・キッズのブランド「0から6歳の伝統ブランドアエル(aeru)」(以下、アエル)は、今年パリの百貨店「ル・ボンマルシェ・リヴ・ゴーシュ(ボンマルシェ)」で開催した日本展「ル・ジャポン・リヴ・ゴーシュ」に出店。伝統産業とベビー・キッズ用品を掛け合わせたユニークな商品は、和える代表の矢島里佳(26)によって生み出され、テレビや雑誌などのメディアに取り上げられるなど注目を集めている。9月に発売した「東京都から 江戸更紗の おでかけ前掛け」は、伊勢型紙、波佐見焼のボタン、顔料のベンガラ、江戸更紗の染め職人、オーガニックコットンと、“前掛け”1枚を完成させるために5社の技術を採用するこだわりようだ。
同社が2012年に商品第一弾として発売したのは本藍染の産着。「天然藍には、紫外線(UV)カット、保温効果などの効果があり、赤ちゃんの肌を守る。使用する生地はオーガニックコットンで、職人が一つ一つ約30回手染めし、濃厚な藍勝色と呼ばれるカラーに仕上げる。赤ちゃんを藍と愛で優しく包んであげたいという思いを込めており、弊社を体現する商品の一つ」と矢島代表。
「アエル」の商品は伝統工芸の技術で美しいだけではなく、機能性に長けていて、子どもが大人になるまで使うことができたり、親も子どもと一緒に使える商品が多い。子どもが両手で持つのにぴったりな型の「こぼしにくいコップ」は、大人が日本酒を飲むのにも最適なカップ。普遍的なデザインで、ユーザーを子どもに限定しないのがこのブランドの特徴だ。
「アエル」は12年、矢島代表が大学卒業とともに立ち上げたブランド。大学在学中に、ライターとしてJTBの会報誌で20〜40歳の若手職人を取材し、「日本の伝統を次世代につなぎたい」という職人の声に感銘を受け、11年に同社を設立した。現在、全国の百貨店やeコマースで取り扱うほか、今年7月に、東京・目黒に初の直営店をオープンした。今後、さらなる商品展開や京都店オープンを目指す。