破たんした米国の高級小売店「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」が、NY拠点のブランド管理企業オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP.以下、ABG)などと売買に関する入札について合意に達したと発表した。ABGはおよそ2億7140万ドル(約284億9000万円)を提示。10月24日にNY市内のバーニーズのオフィスで行われる入札は、この金額を水準に競われることになる。
この金額に含まれるのは、バーニーズのほぼ全資産だ。ABGはバーニーズを手中に収めることができたら、同店舗のオンラインビジネスを残し、カナダの小売り大手ハドソンズ・ベイ(HUDSONS BAY)とライセンス契約を締結。ハドソンズ・ベイが手掛けるサックス・フィフス・アヴェニュー(SAKS FIFTH AVENUE)の店舗にバーニーズのインショップを構えたい考えだ。ハドソンズ・ベイは、ライセンスではあるもののバーニーズを手中に収めることに意欲的。両店とも取り扱いブランドは似ているが商品は大きく異なり、サックスが開拓しきれていないミレニアルズにとって魅力的な店舗づくりに一役買うのでは、との思惑があるようだ。
ABGは、NYとロサンゼルスのバーニーズ店舗は存続させたい考えで、地主との交渉を開始する。ただニューヨークの店舗は規模を縮小する考えがあるようで、リアル店舗の運営母体はハドソンズ・ベイになる公算が高い。
バーニーズの代表は、「ABGの提案、およびサックスとのパートナーシップを前向きに捉えている」とのコメントを発表した。
さらにABGは、バーニーズ ニューヨークを海外展開することも視野に入れる。スニーカーやフレグランス専門の小型店構想も浮上している。
もちろんバーニーズは現在、他社とも交渉中だ。だが入札までの残り時間はわずかでABG以外との交渉がまとまる可能性は低そうだ。
破たん後の9月1日から10月5日までの約1カ月間で、バーニーズはおよそ860万ドル(約9億円)の純損失を計上。在庫資産は1億9000万ドル(約199億円)とみられている。
ABGは「ナイン ウエスト(NINE WEST)」や「ヴィンス カムート(VINCE CAMUTO)」など、世界で5000近い店舗をブランドからの委託を受けて運営。関連会社は「エアロポステール(AEROPOSTALE)」や「ノーティカ(NAUTICA)」などを手掛けている。