ニット機械大手の島精機製作所は21日、2020年3月期の業績予想を下方修正した。営業損益は当初予想の40億円の黒字から36億円の赤字とした。米中貿易摩擦の長期化など世界経済の先行き不透明感に加えて、環境意識の高まりによるアパレル生産の抑制が打撃となり、機械の販売先であるアジアの工場の設備投資に急ブレーキがかかった。
営業損益以外の修正後の予想数値は、売上高が400億円(当初予想は523億円)、経常損益が35億円の赤字(同44億円の黒字)、純損益が24億円の赤字(同33億円の黒字)となる。期初から市場環境の悪化を鑑み、慎重な業績予想を組んでいたが、その想定を大幅に下回ることになった。
アパレル生産の抑制によって中国、バングラデシュ、ベトナムなどアジア地域の工場を中心に大量生産型のコンピュータ横編み機への設備投資が低調だった。同社の代名詞であるホールガーメント横編み機のほか、アパレルデザインシステムや手袋・靴下編み機の販売も不振に終わった。為替が円高に振れたことも足かせになった。
同社は横編み機の世界的なメーカーで、売上高の8割以上を海外で稼いでいる。工場の設備投資は世界経済や為替、市況に左右されやすい側面がある。