こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)千鶴です。食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋を実感する1週間でした。紅葉は桜と同じかそれ以上に訪日外国人に人気だそうで、どこに行っても外国人がいっぱい。彼らの目線を通じて日本文化を再発見する機会が年々増えています。
10月19日(土)
土曜日の午後をドーバー ギンザで
過ごして笑う
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“土曜日だし、疲れているし、がっつり取材というよりちょっとのぞきに行こう”と思ったのに結果的には館内をくまなく歩きまわったのが、「ドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)」のイベント“オープンハウス”です。5歩歩くと面白い商品があり、8歩歩くとその商品を作ったデザイナーがいて、10歩歩くと家族連れで遊びに来ている知り合いと会い、全然前に進めないから(笑)。40組の国内外のクリエイターがこのために来店しているのだからにぎやかです。ポイントは“笑える”モノが多いこと。“笑える”の意味はもちろん、“バカにする”ではなく“ウィットがある”の意味です。
「ダブレット(DOUBLET)」のおぞましい血まみれのシロクマ(写真1枚目)に想像力を掻き立てられたり(温暖化で北極を追われたシロクマが人間を食い殺す、というストーリーを私は想像しました)、「クボラム(KUBORAUM)」のサングラス(写真2・3枚目)はぶっ飛んだデザインの背景にイタリアの職人技が背景にあることを知ったり、3Dスキャンで作るジュエリーブランド「オールブルース(ALL BLUES)」(写真9枚目・動画下)のサンプルのモチーフがデザイナーのおじいちゃんとおばあちゃんでほっこりしたりと、頭の中に“!”や“?”が浮かぶモノが多いのです。「エヴァン キノリ(EVAN KINORI)」(動画上)のようにデザイナーが物作りの背景を直接語るのも魅力です。
10月23日(水)
アクリスCEOとランチで
女性リーダーについて語る
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「アクリス(AKRIS)」のメリッサ・ベステ(Melissa Beste)グローバルCEOと銀座の吉祥でランチ。サックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE)やニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)の要職を経て現職についたメリッサーは、パンツスーツが似合うルックスも思慮深い言動も絵にかいたような“デキる”リーダーです。
2時間の話の中身の大部分は、「アクリス」が掲げるメッセージ“women with purpose”について。ファッションを通じて女性を勇気づける方法とは?そのメッセージを伝えるための手段とは? からの、なぜ日本には女性のリーダーが少ないか問題について……。エキサイティング!ちなみに「アクリス」は、メリッサだけではなくジャパン社も女性である井野智恵子氏が社長です。メリッサがその穏やかさを保つ秘密は1日1回の瞑想だそうで、「NYの地下鉄の中でもできちゃう」そうです。
10月23日(水)
「オニツカタイガー」のイベントに
遅れそうになり走る
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「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」の2020年春夏コレクションを見に東京・新豊洲Brilliaランニングスタジアムへ。空き地に忽然とあらわれる大きなスタジアムは元プロ陸上選手の為末大さんが館長を務め、ファッション関連のイベントで使われるのは初だそう。到着した!と思ったら入り口が真逆でぐるりと回りこむこと数百メートル。期せずして走りましたが「オニツカタイガー」と「ジバンシィ(GIGENCHY)」のコラボスニーカーを履いていたので楽勝、でもないけど息切れぎれで間に合いました。
ショーは全長60メートルのトラックに、ラート(鉄の輪を2本つないだ器具の中に人が入り回して演技をするアレです)やマーチングバンドが登場してスタート。1949の文字が70周年であることを伝えます。戦後間もない日本でスポーツシューズを作ろうと思い立ち今に至る。その理念と継続に頭が下がります。歴史は積み重ねでしか作れないですし、世界へ出てゆくときの大きな武器になりますから。ショーの後は、なんとバーベキューでパーティー。夜風が最高に気持ちよかったし、久しぶりの知人との再会がいくつもありうれしい夜に。伊藤忠商事に戻り調査・情報部 海外調査・情報室という壮大な名前の部署で働く信田阿芸子さん(7枚目の写真の右から2番目)からは担当エリアであるアフリカの話を聞いて夢が広がりました。
10月23日(水)
「オニツカタイガー」のランチで
車のデザインを学ぶ
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「オニツカタイガー」のショーには海外のジャーナリストが多く招かれており、この日はホテル雅叙園東京で秋の味覚のランチ。1枚目の写真はオニツカタイガーカンパニーの庄田良二・代表(左)と、アンドレア・ポンピリオ(ANDREA POMPILIO)=「オニツカタイガー」クリエイティブ・ディレクター。お2人、似てませんか?似てますよね。4枚目の車の絵はお隣になった鈴木正文「GQジャパン(GQ JAPAN)」編集長が描いてくれました。アンドレアがビンテージカー好き、という話から広がり「なぜ車のデザインはおもしろいか」についてレクチャーをもらいました。おもしろかった!
10月23日(木)
「原宿オークション」に
新しいムーブメントの予感
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原宿カルチャーと密接なアートを取り扱う「原宿オークション(HARAJUKU AUCTION)」のレセプションに行ってきました。キース・へリング(Keith Haring)、ラメルジー(Rammellzee)、村上隆、五木田智央などの作品が211そろい、モダンアートの小さな美術館みたい。カウズ(KAWS)が一番目立っていたかな。90年代の裏原にルーツを持つ原宿カルチャーは次のステージに来ており、新しいムーブメントとビジネスを生み出していますね。めちゃくちゃ興味深いです。
10月23日(木)
最新号「東京コレクション」特集と
本日のおやつ
手厳しいタイトルの表紙ですが、こういった問題提起も「WWDジャパン」の役割。東京ファッションがわれわれの起点でありますから。本日のおやつはトーヨーキッチンスタイル(TOYO KITCHEN STYLE)さんからいただいた緑屋老舗の栗金飩(くりきんとん)。栗そのものを味わうような優しい甘さが体にじんわり届きます。