元SKE48で現在モデルや女優として活躍する平松可奈子(23)がガールズブランド「ハニーシナモン(HONEY CINNAMON)」のプロデューサーに就任した。2015年春夏シーズンからブランドの全てのディレクションを行い、服のデザインをはじめ、ブランドロゴ、ホームページ、ツイッターなどを手掛け、ブランドを刷新する。
「ハニーシナモン」は現在、“23歳になった不思議の国のアリスのワードローブ”をテーマに東急モールズデベロップメントが運営する「シブヤ109(SHIBUYA109)」の公式オンラインストアで商品を販売している。売り上げ成績次第で、6カ月限定の実店舗出店のチャンスを得ることができる「第4回 109ステージ」のプロジェクトに参加しているもので、来年3月にリアルショップのオープンを目指している。
平松は昨年アイドルグループのSKE48を卒業後、タレント活動や雑誌「ラルム(LARME)」(徳間書店)、ファッションブランドのカタログやムック本などでモデルとして活躍。今年7月には、自身がセレクトしたハンドメードのアクセサリーや若手デザイナーズブランドを取り扱うECストア「ポフィネ(PEAUFINER)」を立ち上げ、独自の世界観を表現してきた。舞台やラジオなどへと活動の場も広がる中、新生「ハニーシナモン」に賭ける平松に意気込みを聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):「ハニーシナモン」のプロデューサーに就任した経緯は?
平松可奈子(以下、平松):「ハニーシナモン」の社長から声をかけていただいたのがきっかけ。ブランドのイメージ像が“私”だから自由にデザインしてほしいとオファーをいただいた。生地選びから携わり、洋服をデザインしたり、ウェブやツイッターなどのリニューアルに向けた打ち合わせをしたり、自分の世界観での撮影に向けた準備などもしている。
WWD:デザインや世界観などは、どのように伝達している?
平松:昔からずっと服をデザインしたいと思っていたため、アイデアはあふれていた。作りたい服の形なども明確にあった。初回のミーティングの時点で、映画から切り取ったイメージ画像やスケッチ、表現したいシルエットの私物や古着などをトランクに詰め込んで持っていって説明した。顔合わせということだったのに、一度も座らず、水も飲まず、4時間も話し合って、いきなり20型のデザインを完成させてしまった。「こんなに積極的に提案してくれると思わなかった」と驚かれた(笑)。
WWD:新生「ハニーシナモン」のテーマは?
平松:テーマは“少女”。女の子が少女でいられる期間は限られている。だからこそ、儚くて、キラキラしていて、危うくて。そんな要素を詰め込んで、女の子で良かったという喜びを服で表現したい。
WWD:服作りでこだわっていることは?
平松:シンプルなデザインのアイテムでも女の子らしいディテールを加えたり、甘さの中にちょっぴりセクシーを取り入れたりしている。例えば、ランジェリー風のデザインは可愛いけれど、どこか透けていてちょっとドキッとする要素があったりする。生地は、アイテムごとに選んでいて、素材とシルエットのバランスや、産地や価格など、限界を超えるくらいまでこだわらせてもらっている(笑)。また、私は身長が152センチということもあり、背が小さくてもバランスが良く見えるように計算して、スカート丈や切り替えなどで工夫して、着る女の子が自信を持てるようなものにしている。「ポフィネ」のアクセサリーともマッチするような世界観にもなっている。
WWD:服をデザインしてみて難しかったことは?
平松:提案した色の組み合わせに対して、「この色は売れないという実績がある」と言われたりすることもある。でも、「世の中にないからこそ作りたい!だまされたと思って、一回作らせてもらえませんか!?」って説得したり(笑)。それと、使いたい生地を選ぶと、どうしても日本製になって価格が高くなってしまったり。オシャレに見える韓国製のものでも、もう少し別のイメージのものからセレクトしたいのでといって、生地を集めてもらったり。それと、ファッション用語がわからないので、なんとかイメージが伝わるように、ビジュアルやイラストなどを交えて理解してもらうようにしている。
WWD:商品構成は?
平松:ワンピースとスカートを多く作っていて、インナーとトップスのセットや付け襟や靴下もある。
WWD:服をデザインするようになってから、発見したことは?
平松:街の人をよく見るようになったり、いろいろなシーンでアイデア源を探したりしているので、毎日の暮らし方が変わった。お菓子のパッケージの配色をチェックしたり、雑誌を見て可愛いものを見つけたら写メしたり、いろんなデザインを意識するようになった。
WWD:街を見て気がついたことは?
平松:今まさに、ガーリーブームが来ていると思った。皆、レースやフリル、編み上げのディテールがある服を着ていて、こういうものが求められているんだなと再確認した。一方、ガーリーのデザインは、似ているものが多い。その中で、自分流に可愛くデザインしてオリジナルのものを作り上げることも大切だけれど、新しい何かを開発し、発信することが今後の課題にもなっている。
WWD:「ポフィネ」「ハニーシナモン」以外の活動は?
平松:「ラルム」「キューティ」「ケラ」「ゴシック&ロリータ」「スマート」などにも登場させてもらったり、「縷縷夢兎(るるむう)」「シャルディ」のなどブランドのモデルをさせてもらったりもしている。また、女優としても活動していて、来年1月20日からスタートする舞台「アンドキュメント」で初のヒロインを演じる。“報道のボランティア団体の表と裏”というコンセプトの物語で、ボランティア活動する女の子という役柄で、泣きながら感情を出す場面が多い。マイクのない環境の中、会場の一番後ろの席まで地声で、台詞と感情を伝えなきゃいけないというのが試練で、自分を追い込んでいるところだ。さらに、二次元情報誌「おたぽる」連載を執筆しているほか、お笑い芸人、劇団ひとりさんのラジオ「劇団サンバカーニバル」でアシスタントを務めさせてもらうなど、ラジオでは3つのレギュラー番組を持っている。
WWD:次の目標は?
平松:アイドルをしていた名古屋から東京に出てきて1年。なかなかうまくいかないこともあったけれども、出会いを大切にしてきたことで、友人も仕事の幅も広がった。皆に感謝している。来年はセルフ・スタイル本を出したい。片側から開くと「ポフィネ」で、もう一方から開くと「ハニーシナモン」が出てきて、真ん中には、私服やメイクやヘア、好きなものについてまとめたり。これを読むだけで私のすべてがわかるような一冊にしたい。