※この記事は2019年6月26日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
パリコレ後、自らに課した3つの課題
2020年パリ・メンズ・コレクションが終了。毎日のドタバタも少し落ち着き、残り数日となったパリ滞在は、朝起きて原稿を書いて、昼間は展示会回り、夜は会食して、ホテルに戻ってもう一回原稿を書くというサイクルになりました。パリとは言え、日本の日常と大差ない穏やかモードに突入です。
時間と心に余裕が生まれる帰国前の数日は、自分に3つの課題を課しています。1つは「食事も妥協しないこと(だから積極的に会食します)」、2つめは「なるべく多くの洋服に袖を通すこと」、そして3つめは「それをインスタグラムにアップして、みんながどう反応するか眺めてみること」です。
1つめは、「高級品じゃなきゃダメ!!」というワケではありません。「郷に入れば郷に従え」という言葉がある通り、なるべく「現地でなきゃ食べられないもの、現地で食べることに意味があるもの」を選ぶようにしています。昨日は、パリにもようやくオープンした「イータリー(EATALY)」でランチ。週末、行列がスゴかったのを思い出し、「パリっ子も好きなのか?なぜ?」と思い、体感したくなったのです。パリの「イータリー」もピザや生ハム、チーズのショップを周囲に配したフードコート。中央には大きな庭があり、“コミュニティー”感抜群です。「パリっ子も、“コミュニティー”好きなんだ。NYみたいに小さなショップを周囲に配して、中央にフードコートを設ける“コミュニティー・モール”が成功しそう」。オペラ座の近くでラーメンを食べるよりは(いや、それも捨てがたいのですがw)、新しい発見、新たなアイデアに出合えます。
2つめは、案外実践する編集者が少ない印象です。いろんな服を取っ替え引っ替えしていると「本当にいろんな服、試着されますね」と言っていただくことがしばしばです。でもハンガーにかかった洋服を眺め、ちょっと触るくらいでは、その魅力なんてわからないでしょう?腕を袖に通すときの感触、着てみて鏡の前に立ったときの高揚感、そこから(買ってもいないのに)考える着まわし……。全ては消費者にとって洋服を購入するに際して当然の行為であり、買うか否かはその経験次第です。究極、コレをやらない限り、消費者に寄り添うことは難しいのでは?と思います。エディターも、バイヤーも、メーカーも、案外目の前の洋服、着ていないんじゃないですか?着るだけで開ける世界もあるハズです。
そして最後は、「せっかく着たならインスタに投稿しちゃえ」と安直に始めたのですが(笑)、案外「いいね!」の数やインプレッションがバラけ、ごくごく狭いコミュニティーではありますが、その反応をダイレクトに見ることができて面白いんです。ハッシュタグを考える訓練にもなりますよ(笑)。 皆さんもぜひ、その場でしか体感できないことには積極的にトライし、少しでも多くの洋服に袖を通し、そこで得たエモーションを周囲に伝えてみてはいかがでしょう?
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