米大手運送会社ユナイテッド・パーセル・サービス(UNITED PARCEL SERVICE以下、UPS)は10月1日、子会社のUPSフライトフォワード(UPS FLIGHT FORWARD)がドローンを使用した配達サービスに関して米連邦航空局(FEDERAL AVIATION ADMINISTRATION以下、FAA)の認可を受けたと発表した。
通常、ドローンを使用した配達にはさまざまな制限が課せられているが、同社が今回取得した「第135スタンダード認証(Part 135 Standard Certification)」は運用規模、サービスの範囲、ドローン数などに制限がなく、幅広い配達サービスが可能となる。民間企業でこの認証を取得したのは同社が初めてだ。これを受けて、UPSはUPSフライトフォワードのドローンサービスを組み込んだ配達網の整備を本格化する。運用管理センターの設立や、ドローンの安全性を確保するための衝突回避機能の改善のほか、より重い荷物も運べるドローンの開発などに取り組んでいくという。なお、UPSフライトフォワードは米ドローンメーカーのマターネット(MATTERNET)と提携し、ノースカロライナ州にある病院の敷地内で医薬品や検査サンプルを配達する事業を2019年3月に開始しているが、これはドローンの無人飛行に関する限定的な許可をFAAから取得して行っている。
デイビッド・アブニー(David Abney)UPS最高経営責任者(CEO)は、「まさに歴史的な瞬間だ。当社の技術がさまざまな可能性の扉を開き、顧客が抱える問題を当社ならではの方法で解決できるようになるだろう。UPSフライトフォワードは世界一流の航空会社であるUPSの知識や経験を活用して、FAAが定める信頼性、安全性、管理に関する厳しい要件を満たすドローン配達サービスを本格的に展開する。今後はインフラを整備して医療関連の配達サービスを拡充すると同時に、ドローンの新たな利用法も確立していきたい」と語った。
UPSの競合である米フェデックス(FEDEX)と、米薬局チェーンのウォルグリーン(WALGREENS)は、グーグル(GOOGLE)の親会社であるアルファベット(ALPHABET)傘下のドローンサービス会社ウィング・アビエーション(WING AVIATION)と提携し、バージニア州でドローンによる宅配サービスを試験的に開始する。これに先立ち、ウィング・アビエーションも19年4月に商用ドローン物流会社として初めてFAAから認可を取得しているが、これは制限があるものだという。
ウォルグリーンの親会社であるウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WALGREENS BOOTS ALLIANCE)のヴィシュ・サンカラン(Vish Sankaran)=チーフ・イノベーション・オフィサーは、「ウィング・アビエーションとの提携により、当社は小売業界で初となる商用ベースのドローン配達サービスを提供する。顧客のニーズやリクエストをオンデマンドで満たせる、オムニチャネルの新たな“チャネル”となるだろう」と述べた。