ファッション

素材サンプルのデジタル化で輸送費1億円節約! 素材メーカーもブランドも恩恵

 ファッション業界でもデザインやサプライチェーンなど生産工程のデジタル化が急激に進んでいるが、テキスタイルや素材メーカーは依然としてサンプルの実物を取引先に送る必要があった。輸送費用がかさむだけではなく、二酸化炭素排出量の増加などサステイナビリティーの観点からも望ましくないが、ファブリックのサプライチェーン・プラットフォームを提供する米フロンティア(FRONTIER)の“オンラインデータベース”によってそうした問題が解決できるという。

 フロンティアの親会社であるエスメテックス(ESMETEX)のロバート・ライアン(Robert Ryan)は、「オンライン上のデータベースなので、テキスタイルメーカーはほぼ無制限にサンプルをアップロードすることができるし、より多くのブランドに見てもらうことができる。ブランド側としても、従来よりも気軽に多くのサンプルを見て注文できる」と語った。

 使い方は、ファブリックをスキャンした画像をアップロードして情報を入力するだけと簡単だ。画像はスマートフォンで撮影したものでも構わないという。フロンティアのAI(人工知能)が色味などを調整し、いくつかの条件に従って分類する。デザイナーやブランド側は、色、パターン、テクスチャー、原材料などで検索し、同データベース上でそのままサンプルや実物を注文することが可能だ。

 また、同データベースは一般的なデザイン用ソフトウェアの多くに対応しているため、デザイン画などにサンプルを適用して仕上がりを見ることもできる。サンプルの画像は3Dにすることも可能で、手触りもイメージしやすいという。このデータベースは2019年4月に公開されたばかりだが、すでにインドなどアジアのテキスタイルメーカーが25社登録しており、およそ2万種類のサンプルが提供されている。

 現在のところ、「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」を擁するPVHコープ(PVH CORP)などがユーザーだ。ライアンは、「PVHコープのとある部門は、ファブリックのサンプルなどの輸送費をたったワンシーズンで100万ドル(約1億800万円)節約できた」とその効果を説明した。

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