「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」などを擁するLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が、ティファニー(TIFFANY & CO.)に買収案を提示したと複数の海外メディアが報じている。
10月26日、米ブルームバーグ(BLOOMBERG)と仏AFP通信(L’AGENCE FRANCE-PRESSE)はLVMHがティファニーに対しておよそ145億ドル(約1兆5660億円)、1株当たり120ドル(約1万2900円)での買収を今月初めに提示しており、ティファニーはそれを検討中だと報じた。ブルームバーグは「両社が合意に至るとは限らない」と慎重な見方をしており、英フィナンシャル・タイムズ(FINANCIAL TIMES)は「ティファニーは買収案を拒否することが予想される」とコメントしている。LVMHとティファニーは、いずれも報道に対してコメントを発表していない。
LVMHはウオッチ&ジュエリー部門では「ショーメ(CHAUMET)」などを擁しているほか、2011年に「ブルガリ(BVLGARI)」をおよそ52億ドル(約5616億円)で傘下に収めている。なお、アレッサンドロ・ボリオーロ(Alessandro Bogliolo)=ティファニー最高経営責任者(CEO)は、かつてブルガリの最高執行責任者とジュエリーやウオッチ、アクセサリー部門の上級副社長を兼任していた。また、フランチェスコ・トラパーニ(Francesco Trapani)=ティファニー取締役は、以前ブルガリのCEOおよびLVMHのウオッチ&ジュエリー部門CEOを務めていた。
LVMHの19年7~9月期決算の売上高は、前年同期比17.0%増の133億1600万ユーロ(約1兆5979億円)と上期に引き続き増収だった。一方で、ティファニーの19年5~7月期は同2.5%減の10億4850万ドル(約1132億円)で、既存店売上高は同4%減と減収傾向にある。
LVMHによる今回の買収案が事実であれば、ウオッチ&ジュエリー部門をさらに強化することが狙いだろう。ライバルであるコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)は「カルティエ(CARTIER)」と「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」を、ケリング(KERING)は「ブシュロン(BOUCHERON)」と「ポメラート(POMELLATO)」を擁している。なお、情報筋によればLVMHはプラダ(PRADA)の買収にも関心を示しているそうだが、両社ともコメントを控えるとした。