米百貨店のノードストロム(NORDSTROM)は10月24日、マンハッタン旗艦店をオープンした。2018年4月に先行オープンしたメンズ館とは道路を挟んだ位置にあり、シアトルを拠点とする同百貨店はこれで本格的にニューヨークに進出したことになる。マンハッタンではほかに、アウトレット業態「ノードストロム ラック(NORDSTROM RACK)」と、ECで注文した商品の受け取りや返品が行える「ノードストロム ローカル(NORDSTROM LOCAL)」をそれぞれ2カ所展開している。
約3万平方メートルの同旗艦店は地上5階、地下2階の7層構造で、シアトル旗艦店に次ぐ規模だ。壁一面に波打つガラスが張られたファサードが印象的で、明るくモダンな雰囲気を醸し出している。なお、同店は建設中の商業・住宅複合用途の超高層ビル、セントラル・パーク・タワー(CENTRAL PARK TOWER)の低層部分を占めている格好だ。
マンハッタン旗艦店のオープニング記念として、1階のセンターステージでは「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」がハンドバッグやフットウエア、トラベル用品の限定コレクションを展開。また、「バーバリー(BURBERRY)」と「エバーレーン(EVERLANE)」がそれぞれ期間限定のポップアップストアを出店しているほか、「ナイキ(NIKE)」のウィメンズ向け“スニーカーブティック”がオープンした。
7層のうち2階分は、「サンローラン(SAINT LAURENT)」「フェンディ(FENDI)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」「クロエ(CHLOE)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」などのラグジュアリーブランドが占めている。割合にすると、全体の35%程度がラグジュアリー製品だという。一方で、「カナダグース(CANADA GOOSE)」「メイドウェル(MADEWELL)」「トップショップ(TOPSHOP)」などの手頃なブランドも入っており、米国内で「トップショップ」を扱っているのは同店のみだ。
店内の構成としては、1階には好調なビューティのほか、ハンドバッグやアクセサリー類が置かれている。ビューティでは、ブランドを超えたサービスを提供する「ビューティ・コンシェルジュ・プログラム」が設けられているほか、鏡に顔を映すとAI(人工知能)が肌の状態を判断して適切なスキンケア製品を選んでくれる“AR(拡張現実)ミラー”もあるという。2階はデザイナーズシューズとハンドバッグ、ファインジュエリーを扱っており、3階はデザイナーズブランド、4階がデニムなどを含むカジュアルウエア、5階がアクティブウエアやランジェリーだ。地下1階はフロア全体がシューズやスニーカーの売り場で、地下2階はキッズとベビーウエアとなっている。また、飲食店はシアトルの有名シェフが取り仕切るイタリアンを含め、カジュアルなビストロやバーなどが全体で7カ所設けられている。
ノードストロムは売り上げのおよそ30%がECサイトであることから、オンラインで注文した商品を店舗で受け取れるシームレスなショッピング体験に力を入れている。これはすでにメンズ館で実現しているが、旗艦店ではさらに一歩進め、ECで購入した商品も面倒な書類の記入などをせずに店舗で返却できるサービスを提供している。また、携帯電話の充電ステーションが随所に設置されているほか、店内のどこにいてもWi-fiが利用できるようになっている。
ピート・ノードストロム(Pete Nordstrom)=ノードストロム共同社長は、「旗艦店の売り上げ目標は公開していないが、ノードストロムの中で一番の売り上げとなるだろう。そうでなければ、何か修正するべき問題があるということだ」と語った。業界アナリストらが3億ドル(約324億円)程度と見積もっていることについては、「それよりは上回ると思う」とコメントした。なお、旗艦店の建設費は5億ドル(約540億円)程度と言われているが、敷地を購入しているため、実際はそれを超過していると同氏は述べた。