デサントは、水着ブランド「アリーナ(ARENA)」の新たな競泳用トップモデル“アルティメット・アクアフォース X(ULTIMETE AQUAFORCE X)”の発表会を東京の神田明神で10月30日に行った。開発したのは“アルティメット・アクアフォース X MF(モーション フリー以下、MF)”と“アルティメット・アクアフォース X CP(コントロール ポジション以下、CP)”の2型。素材開発から縫製まで全ての工程を日本で行う。
“MF”は動きやすさにこだわって身頃部分を1パーツで構成し、股関節部分の着圧を前モデルから約13%軽減させて動作時の可動域を確保。さらにウエストや臀部に付けた裏地によって筋肉のブレを抑え、体幹を支える。
“CP”はサポート力を重視する。水着にグリップ力を高めた新しいテープを付けることで摩擦力を高めたり、水着と体とのずれを軽減したりして、前モデルよりもキック力を約11%アップさせた。テープを臀部から太もも裏にかけてY字に配して、水中での足の位置をキックしやすいポジションへとサポートする。
両モデルの女性用水着は、デサントが18年から包括的提携を結んでいるワコールホールディングス(HD)の人間科学研究所と、デサントのスポーツウエア研究開発拠点のDISC(デサント イノベーション スタジオ コンプレックス)による初の共同開発製品だ。ワコールが下着開発で培ったノウハウを生かし、胸の膨らみによる流水抵抗を軽減させるための新しい裏地構造を取り入れた。胸の上部には伸縮性のあるニット素材を斜めに配して胸の膨らみを脇の方向へと逃し、下部は布はく素材に切り替えて安定感を向上させた。開発に携わったワコール人間科学研究所の堀部香里は、「デサントさんから、流水抵抗を軽減するために胸の凹凸を抑えたいという相談を受けた。ワコールはバストの膨らみをコントロールする下着開発を行ってきたので、これまでの人体計測の知見などを生かして分析し、開発に取り組んだ」と語った。
発表会には前モデルを着用して「第18回世界水泳選手権大会」で2つの金メダルを獲得した瀬戸大也選手をはじめ、清水咲子選手、長谷川涼香選手、牧野紘子選手、川本武史選手が新作を着用して来場し、感想を述べた。開発にも携わった瀬戸選手は“MF”を着用。「細かい要望に応えてくれて、自分の頑張りを最大限に引き出してくれる。前モデルも軽かったが、さらに軽量にバージョンアップしていた。まだ試合では着用していないが、もし前の試合で着用して泳いでいたら世界記録が出ていたかも」と会場を沸かせた。女性用の“CP”を着用した清水選手は「胸部分の抵抗を軽減する構造なのに、締め付ける感じがない。着るだけで抵抗が少なくなるのは、女性選手にとってありがたいこと」と話した。
デサントジャパンの錦織篤アリーナ マーケティング部部長は「盛り上がりを見せるスポーツの中でも、水泳は国民からの期待が特に大きい種目。その期待に応えるべく、われわれが長年培った高い技術力をもとに多くのトップスイマーと共に商品開発を進めてきた。多くのスイマーが“アルティメット・アクアフォース X”をまとい、2020年の個々の目標に向かっていく姿に期待している」と語った。
一般発売は2020年1月1日を予定し、価格は両モデル共に男性用2万6000円、女性用3万7000円。年間販売数は1万2000枚を目指す。