ファッション

ロンドンコレのケータリング事情は“プレ飯”が独占 予想外の結果に驚き

 パリ・メンズ・ファッション・ウイークで過去に2回実施してきたケータリング調査が好評なため、今回はロンドンで初のウィメンズ・コレクションでの実施!ということで、9月に開催された2020年春夏シーズンのロンドン・ファッション・ウイーク(LONDON FASHION WEEK、以下LFW)のバックステージに潜入してきました。ロンドンにはケータリング会社がたくさんあるようなので“パリとロンドンでどんな違いが見られるかなぁ”“ウィメンズだからメンズよりヘルシーなのかなぁ”“パリにはないチェーン店やレストランのケータリングが食べられちゃったりして”など、出発前からワクワクしっぱなし。しかし、結果はなんとも言えない感じでした……。とある理由からランク付けには苦戦しましたが、抜き打ち調査した4ブランドのケータリングを紹介します。

4位:REJINA PYO
あれ?想像と違う……

 実は私が最も期待していたのが「レジーナ ピョウ(REJINA PYO)」でした。だってデザイナーのレジーナ・ピョウの旦那さまはシェフで、インスタグラムの個人アカウントでは美味しそうな料理を頻繁に披露しているんですよ。旦那さまの料理か、もしくは韓国出身である彼女のソウルフードが並ぶのでは——と期待は高まる一方だったのですが、現実は理想とは大きく違いました。そこにはチェーン店「プレタ マンジェ(Pret a Manger)」のサンドイッチとラップサンド、サラダなどの軽食が並ぶのみ。味がどうこうというわけではありません。ただ、あまりにも期待しすぎたんです……。そして今回取材した他ブランドに比べて、ドリンクとスイーツが極端に少なかったこともあり、残念ながら最下位に。集合時刻はおやつタイムの午後3時だったので、スイーツやスナック系のバリエーションを増やしてくれるといいなと思いました。

第3位:TOGA
普通で無難に平均点

 これまでの経験では日本ブランドは高ランクという印象でしたが、「トーガ」は第3位とさせていただきます。ケータリング内容は「プレタ マンジェ」の軽食と、ブラウニーやチョコレートなどの甘い系。「レジーナ ピョウ」に比べてスイーツ類が多かったということで少しポイントアップしました。一般的なケータリングの内容で、何も文句はありません!けれど一方で、いいところを見つけるのも難しく、無難に平均点でした。

第2位:SIMONE ROCHA
ドリンクのチョイスが巧み

 1位とは僅差の2位が「シモーネ ロシャ」です。「プレタ マンジェ」のサンドイッチとパン数種類のほかに、スナック類が豊富に並んでいました。私が特に注目したのはドリンク類です。白い缶に入ったミネラルウオーター「カノ ウォーター(Cano Water)」は、永久に再生利用可能なアルミニウム缶を使用したエコフレンドリーなブランド。イギリスでは高級百貨店や大型スーパーで販売されています。ほかにもインド産オーガニック茶葉を使用した「エタニティー(ETERNITEA)」のお茶が2種類が置かれていました。ザクロ味とユズ味のヘルシーなドリンクで、ロンドンのオーガニックスーパーなどで購入できるようです。女性デザイナーならではの美容・健康・環境に配慮した内容が高印象でした!

第1位:JW ANDERSON
時間帯まで考慮した豊富な種類に拍手

 接戦を制したのは「ジェイ ダブリュー アンダーソン」です(パチパチパチ)。「プレタ マンジェ」のサンドイッチやクロワッサン、マフィン、ヨーグルト、フルーツと最も幅広いバリエーションでした。コールタイムが午前9時半ということで、朝食にぴったりです。ドリンクもフルーツジュースやココナツウオーターなど多数。「シモーネ ロシャ」にも置かれていたスナック菓子はLFWのスポンサーである「プロパーコーン(Propercorn)」のポップコーンや「ベップス(Bepps)」のポテトチップス、「ヒッピーズ(Hippeas)」のひよこ豆スナックといった、オーガニック系の健康的なメーカーが並びました。

 さて、すでにお気づきでしょうか?今回潜入した4ブランド全ての供給元が「プレタ マンジェ」だったことを。イギリス発のサンドイッチが豊富なカフェチェーン「プレタ マンジェ」は、イギリスに300店舗近く、パリにも10店舗を構えています。日本にも2001年に進出したものの、10年には完全撤退したようです。イギリスには「カフェ ネロ(Caffe Nero)」「コスタ(Costa)」や和食「イツ(itsu)」「ワサビ(Wasabi)」とチェーン店や小規模な独立系のケータリング会社がたくさんあるにもかかわらず、全ブランドが「プレタ マンジェ」だったことに驚き!同じ店ということで味に差異がなくランク付けに苦戦しましたが、逆に各ブランドのスタッフへの気遣いが分かりやすかったのも事実です。中でも「ジェイ ダブリュー アンダーソン」は軽食からスイーツ、ドリンク類までがバランスよくそろいバリエーションも豊かだったため、20年春夏シーズンのLFWベストケータリング賞を贈呈します!

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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