エイチ・ツー・オー リテイリングの阪急阪神百貨店による百貨店事業の2019年4〜9月期業績は、売上高が前年同期比4.7%増の2396億円、営業利益が同13.1%増の63億円だった。旗艦店である阪急本店(阪急うめだ本店、阪急メンズ大阪)がけん引した。またセブン&アイ・ホールディングスから事業継承したそごう神戸店、西武高槻店も実績を上回った。
阪急本店は売上高が同8.5%増の1242億円だった。ファッションなどの国内需要や化粧品やラグジュアリーブランドを中心にした訪日客の消費が堅調に推移した。昨年夏に相次いだ台風などの反動増もあった。消費増税前の9月は駆け込み消費が顕著で、高額品は1.5倍ほどの伸びをみせた。そごう神戸店は、10月の「神戸阪急」への屋号変更に先駆けて実施した食品売り場の改装で集客力が高まった。
通期(20年3月期)は売上高が前期比1.6%増の5027億円、営業利益が同13.2%減の155億円を見込む。阪急本店の大型改装、屋号変更に伴う神戸阪急、高槻阪急へのコスト増を主因にした減益に加えて、下期(10〜3月期)は売上高も微減を予想する。
31日に会見した荒木直也社長は、消費増税の駆け込み需要による反動について「10月は想定以上に悪かった。14年4月の消費増税の落ち込みのときよりも悪い」と話した。台風など自然災害の多発による消費マインドの低下も危惧する。また夏以降は元安などの影響で訪日客の購買金額も減速しており「曲がり角に差し掛かっている」との認識を示した。