百貨店の10月度の売上高(既存店ベース)は、大手5社全てが前年同月の実績を2割近く下回った。主なマイナス要因は消費増税前の9月の駆け込みの反動減。台風19号の襲来により、第2週目の週末に、首都圏を中心に軒並み店舗を休業したことも追い打ちをかけた。
三越伊勢丹が前年同月比20.2%減、高島屋が同19.7%減、大丸松坂屋百貨店が同18.9%減、そごう・西武が同19.2%減。当月から神戸店と高槻店を加えた全店ベースで阪急阪神百貨店が同2.5%減。
駆け込みの反動は、特に高額品のカテゴリーで大きかった。高島屋は宝飾品の売上高が同45%減。大丸松坂屋も美術品が同50.6%、宝飾品が同31.7%のマイナスだった。ボリュームの婦人服も、各百貨店で同2割近い減少。「気温が高止まりし、冬物に対する需要が小さかった」(阪急阪神百貨店広報)。一方、「秋口に着られる羽織物の動きは前年並みの水準。紳士ではジャケット、婦人ではニットなどの動きがいい」(そごう・西武広報)との声も聞かれる。中旬以降は売り上げ、客足ともに回復基調にあるものの、「増税以前の水準に戻るまでにはまだ時間が必要」(三越伊勢丹広報)。
台風19号の上陸で、高島屋は旗艦店を含む関東・東海の店舗10店を閉めた。「売上高の3%程度の減収要因になった」(同社広報)という。そのほか三越伊勢丹が約4%、大丸松坂屋も約2.3%の押し下げ要因になったと分析する。
長引く元安により、中国人を中心としたインバウンド需要も低調だった。三越伊勢丹は免税売上高が同約2割減で、高島屋が16.9%減、阪急阪神百貨店も約10%減。「ラグビーW杯の影響による渡航費や宿泊費の高騰も影響した」(阪急阪神百貨店広報)。
各百貨店は11月以降、軽減税率対象の食を中心としたイベントで誘客を狙う。「増税後も、お客さまの像をはっきりさせ、それにマッチした商品提案をする企画は変わらず好評」と三越伊勢丹広報。伊勢丹新宿本店で10月に実施した、香水に焦点を当てた催事「サロン・ド・パルファン」は同1.5倍の売り上げ。阪急うめだ本店でも同月実施した「英国フェア」が同5%増、北海道物産展が同1%増と好調だったという。