大手SPA、セレクトショップ、専門店の2019年10月の売上高(既存店ベース)は、台風19号の影響による大規模な店舗休業が響き、前年実績を下回った。
「ユニクロ(UNIQLO)」の国内既存店とECの合計売上高は前年同月比1.9%減、アダストリアの既存店売上高は同5.2%減、ユナイテッドアローズの小売とECの既存店売上高は同8.1%減、「ファッションセンターしまむら」が主力のしまむらの既存店売上高は同8.7%減だった。「無印良品」を運営する良品計画は、月後半にセール施策「無印良品週間」をイレギュラーで実施したことが奏功し、直営既存店売上高は同6.2%増だった。
10月12日に上陸した台風19号の影響により、「ユニクロ」は同日、国内店舗の約4割にあたる352店を休業、「無印良品」は約6割の287店を閉めた。アダストリアも13日にかけて、全店舗の6割にあたる約800店を休業および営業時間短縮などの措置を余儀なくされた。
月の上~中旬は例年と比べ高気温が続き、冬物が動かなかったことも追い打ちを掛けた。「ユニクロ」はキャッシュレス決済の「ペイペイ」と連動した“ヒートテック”の1枚無料キャンペーンが客数増(同5.6%増)に寄与したが、冬物のセット買いにはつながらず客単価は同7.1%減。「(プロスノーボーダーでブランドアンバサダーの)平野歩夢選手をプロモーションに起用した“ハイブリッドダウン”や『エンジニアド ガーメンツ(ENGINEERED GARMENTS)』とのコラボブルゾンなどニュース性のある商品を除き、重衣料は全般的に低調だった」と広報担当者。一方、後半からは気温が落ち始めたため、「ウールシルクやフランネルのシャツなどの動きがよく、ヤクウールのニットなども動き出した」(良品計画広報)との声も聞かれる。
増税前の掛け込み消費の反動は、比較的高額なアイテムカテゴリーで影響があった。「無印良品」は大型家具や日用品で落ち込みが大きかった。「無印良品週間」の急きょ実施により、「(9月下旬は)駆け込んできたお客さまで店内が混雑をしていたこともあり、その時来店を敬遠されていたお客さまを店頭に呼び込むことができた」(良品計画広報)。ユナイテッドアローズは、2点購入で10%オフなどの値引き策で客単価の減少を1.3%にとどめた。