デザイナーのザック・ポーゼン(Zac Posen)は、自身のブランド「ザック・ポーゼン」やディフュージョンラインなどを運営するハウスオブジー(HOUSE OF Z)の倒産を11月1日に発表した。資金繰りのめどが立たないためだという。
2019年4月に、同社の長年の株主である米投資会社ユカイパ・カンパニーズ(YUCAIPA COMPANIES)が持ち分の売却先を探していると複数の米メディアが報じていた。ハウスオブジーは新たな投資主を探していたが見つからず、今回の決断に至った。同氏は16年から「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」のウィメンズ・クリエイティブ・ディレクターも務めているが、これは継続すると見られている。
ポーゼンは、「ファッションや小売業界が厳しい環境にある中で買い手を見つけるために奔走し、倒産を避けるべくあらゆる可能性を探ったが、時間切れになってしまった。取締役会と共に苦渋の決断を下すこととなった」と語った。
自身の名を冠した主力ブランド「ザック・ポーゼン」は01年の設立。ここ数年は日常的なウエアにも力を入れていたが、やはり女優やモデルなどがレッドカーペットで着用する華やかなドレスのイメージが強いだろう。ミシェル・オバマ(Michelle Obama)前米大統領夫人や、米国の名物司会者オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)をはじめ、リアーナ(Rihanna)、グウィネス・パルトロウ(Gwyneth Paltrow)、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、ユマ・サーマン(Uma Thurman)らが同ブランドのドレスを着用してイベントに登場している。また、18年10月にエリザベス女王(Queen ElizabethⅡ)の次男・ヨーク公爵アンドルー王子(Prince Andrew, Duke of York)の次女であるユージェニー王女(Princess Eugenie of York)が結婚した際、王女はポーゼンが手掛けたドレスを披露宴で着用した。
ポーゼンは、「私はファッション業界に育ててもらった。ブランドを愛してくれた顧客や、共に働いてきた従業員のことを思うと胸が張り裂けそうだ」と話す。今後については、「これまで心を込めて誠実に仕事をしてきたので、これからも長いキャリアがあることを願っている。長年にわたって自分のブランドに注力してきたこともあり、新たな段階に進むに当たっては少し時間をかけて考えるつもりだが心配はしていない。どのようなときでも、私にはクリエイティビティーがある」と述べた。
なお、同氏は「ブルックス ブラザーズ」日本上陸40周年記念イベント開催のため6月に来日しており、毎日放送(MBS)のテレビ番組「林先生の初耳学」の「アンミカ先生のパリコレ学2」に特別講師として出演している。