デサントは6日、2020年3月期の業績予想を下方修正した。売上高の約5割を占める韓国法人デサントコリアが日韓関係悪化による不買運動の影響をもろに受けた。韓国の7〜9月期の売上高は前年同期比30%減。10月の速報値も同様の減収が続いており、さらに単価の高い冬物商戦が本格化する11〜12月も業績回復が難しく、苦戦することが見込まれるという。
修正後の業績予想は売上高が1308億円(修正前は1440億円)、営業利益が11億円(同80億円)、純利益が7億円(同53億円)。
6日に大阪で会見した小関秀一社長は「(8月に)中期3カ年計画を策定したときはここまでひどくなると予想できなかった。本来なら韓国の落ち込みを日本と中国でカバーすべきだが、十分な準備ができていなかった。非常に残念だが、なんともしがたい」と悔しさをにじませた。
下半期(10〜3月)の営業損益は15億円の赤字を計画する。
デサントコリアの改善策については「まださまざまな変化が起こり得るので、全貌が明確になった段階で対応を考える」とし、940ある韓国国内の店舗は当面、現状維持のまま営業する。「こんな状況でも通常の7割近い売り上げがあり、買っていただけるお客さまがいる。そういうお客さまを大事にしてもっと接客サービスに時間をかけていく」という。
同日発表した19年4〜9月期連結業績は、売上高が前年同期比1.3%減の659億円、営業利益が同8.2%減の26億円だった。
中国の売上高は、前期比29%増の117億円。3年前から中国の大手スポーツメーカーであるアンタ社との合弁で「デサント(DESCENTE)」ブランドの拡大に取り組んできた成果が現れた。「デサント」の売上高は人民元ベースで同90%増と大幅に伸長し、4〜9月期で黒字に転換した。
伊藤忠商事出身で今年6月に就任した小関社長は、先の見えない韓国情勢に対する不安をのぞかせながらも「これまで進めてきた方向性は間違っていないことを確認できた。中国は成長スピードを加速し、さらに収益を伸ばしていく。日本は収益性の低い卸事業の比率が高く、成果が見えるまでには時間がかかるが、まずは無駄を省くことに徹し、筋肉質な経営体質に変えていきたい」と抱負を述べた。