楽天の2019年1~9月期(国際会計基準)連結決算は、売上高に相当する売上収益が前年同期比14.6%増の9057億円、営業利益が同15.4%減の1129億円、純損益は141億円の赤字(前年同期は1079億円の黒字)だった。投資先の米シェアライド企業Lyftの株価下落を受け、約1030億円の減損損失を計上したことが大きな要因だ。最終赤字は8年ぶり。
「楽天市場」をはじめとする国内EC事業は、流通総額が同18.4%増の1兆円、営業利益が同1.5%減の151億円だった。同社が最近注力している分野の1つである物流の費用がかさんだ。三木谷浩史・会長兼社長は「これまでいろいろな形で積極的な投資を行ってきたが、ロイヤリティーの高いユーザー数の増加やマーケットプレイス事業の利益が前年同期比で12%増となることなどにより、収益は良くなってきている。物流に関しては、ネット通販の単なる延長から、日常消費の場へと変わる今、投資が必然かつ重要な分野」とし、引き続き物流網の拡大に努めることをアピールした。
また、東京ファッションウィークの冠スポンサーへの就任や、ファッションブランドのアイテムを集積した「楽天ブランドアベニュー」の「Rakuten Fashion」へのリニューアルなどをはじめとするファッション分野の強化については新たな情報は明かさなかった。その中で「ファッションの分野は順次拡大している最中。われわれにはデータが大量にあるので、トレンド分性や需要予測のデータをブランドに提供しつつ、楽天ペイや楽天ポイントを用いた店舗への送客も行っていく。また、(11月1日に発足した)有識者会の力をお借りし、鋭意システム向上にも努めていく」と語った。
なお、通期においては、売上収益について2ケタ成長を目指すとしている。