三越伊勢丹ホールディングス(HD)の2019年4~9月期連結業績は、売上高が前年同期比2.4%増の5772億円、営業利益が同28.3%増の138億円、純利益が同93.3%増の75億円だった。主力の百貨店事業において、4~7月の天候不順やインバウンドの失速などがマイナス要因となったが、消費増税前の駆け込み需要、相模原店・府中店の閉店セールなどが寄与し、増収増益となった。人件費の削減も利益を押し上げた。
中核会社の三越伊勢丹は、売上高が同3.4%増の3090億円、営業利益は同12.1%減の80億円。カテゴリー別の売上高は、衣料品は前年並だったものの、消費増税前の駆け込み需要もあり、身廻品が同4.3%増、美術・宝飾・貴金属がけん引した雑貨が同12.1%増だった。順次リニューアルを進める都内の旗艦店は高額品を中心に好調で、前年同期と比較しても、改装済みフロアは未実施フロアよりも売上高の伸び幅が大きかった。営業減益は、デジタルや基幹店の改装など、先行投資で販管費が同3.3%増と膨らんだことによるもの。
20年3月期連結業績は、売上高が前期比0.6%減の1兆1900億円、営業利益が同2.6%増の300億円、純利益が同3.9%増の140億円を見込む。足元では消費増税の反動減があるが、「下期は、これまでの成長投資の成果で補うことができる」と杉江俊彦三越伊勢丹HD社長。リモデルが進む基幹店のさらなる増収や新規オンラインビジネスの成長などに期待する。
リアル店とデジタルのシームレス化も進める。公式ECの掲載商品は、6万点から10万点まで、デジタル会員は20万人から60万人まで、20年3月期中に増やす。20年4月には、カテゴリー横断型のキュレーションコンテンツやサービス紹介動画などの機能を備えた新アプリをローンチ予定。店舗や用途別に分かれて存在していたアプリを一本化し、利便性向上と機能の集約を図る。