ニューヨーク、そしてミラノの2020年春夏ウィメンズ・コレクションは、「サステイナブル」がキーワードだ。ニューヨークはタイムレス、つまり「いつでも」「どこでも」「誰でも」着られる洋服を提案。逆を言えば、「半年たてば鮮度が急激に落ちるから着づらく「場所を選び」「万人ウケは難しい」提案を控えることで、洋服ひいてはスタイルの汎用性をアップ。これにより、ムダのないファッションの価値を説く。代表格は、アメリカントラッドを打ち出した実用主義の「マイケル・コースコレクション」や、日常生活をちょっぴり楽しくしてくれる“ちょっとだけ背伸び”なデイリーウエアを多幸感溢れる演出の中で教えてくれた「ケイト・スペードニューヨーク」など。「3.1フィリップリム」のフィリップ・リムは、「いつでも着られる洋服を生み出すよう心掛けている。最新コレクションは、その“ニューバージョン”であるべき」と言い切り、頼もしい。(この記事はWWDジャパン2019年10月7日号からの抜粋です)
タイムレスを追いかける姿勢は、ミラノでますます先鋭化した。例えば「プラダ」は、提案する商品を極力絞り込んでコレクションMDを“断捨離”。リブ編みのポロニットはシルクカシミヤ、タイトスカートは「プラダ」ならではのキットモヘアと、取捨選択の上で残した洋服のクオリティーやアイデンティティーを高めることで、型数を絞り込むと失われがちな迫力を担保し(、率直に言えば“繰り返し感”こそ否めなかったが)ランウエイショーが物足りなく感じる危険性を回避する。同様のスタンスは「サルヴァトーレ フェラガモ」や「マックスマーラ」「トッズ」、装飾主義の極みだった「グッチ」でも顕著だった。
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