2020年春夏シーズンのパリ・ファッション・ウイークを取材した。他都市と同様にサステナビリティーが大きな潮流となり、それと連動して“ネイチャー”といったキーワードがトレンドとして浮上した。パリコレとはシーズントレンドが発表される場であり、それ以上でもそれ以下でもないと思っている人も多いかもしれない。もちろん、トレンドの提示は重要な要素だが、それだけをパリコレに期待するのではもったいない。精鋭ブランドがクリエイションの力で、課題山積なファッションビジネスをどう変えていこうとしているかという視点に立ってみると、また違ったパリコレの姿が見えてくる。(この記事はWWDジャパン2019年10月21日号からの抜粋です)
パリコレをビジネス視点で見ようと試みたとき、面白いと思った事例の1つ目は「ロエベ」だ。ショーの詳細は弊紙10月7日号で既報だが、世界各地の繊細なレースやマクラメ編みを取り入れて作った、クラシカルなドレスやヴィクトリアンなムードのブラウスが印象的だった。同ブランドは世界各地のクラフトの若手作家を発掘・支援する「ロエベ クラフト プライズ」を2017年から行っており、デザインの祭典「ミラノサローネ」にも毎年クラフト作家と組んで出展している。今季のショーで見せた凝ったレースも“、布のクラフト”としてミラノサローネで職人と追求していた技巧を取り入れたものなのだという。
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