「朝日新聞」の2人の記者による「大量廃棄社会アパレルとコンビニの不都合な真実」(仲村和代・藤田さつき、光文社新書)を読んだ。朝日新聞での調査報道をベースに新たな書き下ろしも加えた本書は、「年間の日本の衣服の供給量30数億点に対し、着られることもなく10数億点が廃棄されている」「技能実習制度の闇」「サーマルリサイクルという名のもとに行われる実質的な焼却処分」など、アパレル産業の裏側で大量に廃棄される衣服の現状と裏側に迫りつつ、在庫買い取り業者のショーイチやケミカルリサイクルを行う日本環境設計などへの取材を通して、その先の解決策まで踏み込んでリポートしている良書だ。だが、読み終わった後に心の中に湧き上がってきたのは、無力感にも似たやるせない気持ちだった。(この記事はWWDジャパン2019年9月2日号からの抜粋です)
「大量廃棄社会」が取り上げた「着られずに10数億点廃棄されている」という衣服の現状は「統計が存在しない」(P.52)と断ってはいるものの、この数字はアパレル業界でも実感を伴って認識されつつある。オフプライス業態への参入を表明した8月1日のワールドの会見でも上山健二社長が「年間10数億点以上の衣服が廃棄されているアパレル産業ではサステイナブルへの取り組みが不可欠」と言及している。
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