8月26日号の「WWDジャパン」は、毎シーズン恒例の“百貨店で売れたもの”特集として、百貨店各社の2019年春夏(1〜6月)商況を掲載した。詳細は同号を参照してほしいが、都心部の店舗を中心とした全体傾向としては、急伸していたインバウンド(訪日外国人客)の消費はやや落ち着いたものの、国内富裕層の消費は底堅く、高額品(特選、宝飾、時計など)を中心に前年実績を超えた、という声が大勢だった。(この記事はWWDジャパン2019年9月9日号からの抜粋です)
正直、この結果は意外だった。各社の売り上げは年明けすぐにガクンと落ち込んでおり、あの時は「16年の再来か?」といったムードが漂っていたからだ。落ち込みは中国での電子商務法が施行された影響といわれているが、15年に“爆買い”が話題になった翌年の16年も、同様に中国の法改正の影響で免税売り上げが落ち込んでいた。
しかし、結果的にいうと19年春夏は16年の再来とはなっていない。円高も向かい風となって、免税売り上げは銀座や新宿などの地区を中心に落ち着いてきてはいる。しかし、大きく落ち込んだというわけではないし、なによりも百貨店が国内富裕層の取り込みを強化してきたことが成果を生んでいるのだ。「免税売り上げは、(相手国の)法改正や為替、政治状況などに左右されるため、水ものと考えるべき。国内客を着実につかむことが非常に重要」と、昨年の同時期に百貨店の商況取材をしていた際、各社の担当者は口をそろえて話していた。日韓関係の悪化をはじめ、東アジア情勢が難しい今、まさにその通りとなっている。
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