「ロエベ」は11月16日、東京・銀座に旗艦店「カサ ロエベ 東京」をオープンする。5月にクローズしていた銀座店の跡地で、画廊などが入るビルの1階と2階。アートやクラフトを多数取り入れ、クリエイティブディレクター、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が考える今の時代のラグジュアリーを体感できる空間となっている。
1階はバッグやレザーグッズ中心のフロア。らせん階段を上った2階が、レザーグッズと共にウィメンズ、メンズのウエアが並ぶフロアとなっている。“架空のアートコレクターの家”をイメージしたという店内は、「親密性、文化的であること、ラグジュアリー」といった要素がキーとなる。時間(をかけられること)こそがラグジュアリーという考え方のもと、「親しみの持てる図書館のような、街の文化スポット」的な存在を意識したという。
注目は、店内のそこかしこに置かれたアートやクラフト作品だ。マドリッドの本店にも展示している、スペイン人アーティスト、グロリア・ガルシア・ロルカによる壁面インスタレーション2点や、テキスタイルアーティスト、ジョン・アレンによるカーペット、その上に置かれた木製ベンチは、工芸の若手作家を発掘・支援する「ロエベ クラフト プライズ」ファイナリストの作品だ。他にも、テキスタイルで作られた彫刻のようなシモーヌ・フェルパンの作品、桑田卓郎の茶器など、プライズ受賞者の作品を多数展示している。
また、プライズだけでなく、「ロエベ」がデザインの祭典、ミラノサローネに合わせて行っている展示から発展したレザーを編んだ花器や、アートフェアのアート・バーゼル マイアミ期間中に行っている「チャンス エンカウンターズ」展で取り上げたアーティストの作品なども店内に配置。ブランドが行う一連の文化的活動を感じられ、商品を買わずとも楽しめる豊かな空間となっている。「ロエベ」が作成しているアートなフリーペーパーももちろん配布している。
オープンに合わせて、1階のウィンドーや2階のフロア中央では、ウィリアム・ド・モーガン(William Frend De Morgan)の作品に着想を得たカプセルコレクションを打ち出す。モーガンはアーツ&クラフツ運動期のイギリス人陶芸家で、ドードー鳥など空想上の動物を描いたタイルなどがその作品。カプセルコレクションでは、それらの動物の柄を落とし込んだレザーブルゾンやニットウエア、バッグ、チャームなどがそろう。「ロエベ」は2年前には、アーツ&クラフツ運動を代表するウィリアム・モリス(William Morris)から着想を得たカプセルコレクションも企画していた。大量生産が広がった産業革命期に、手仕事や美術への回帰を説いたアーツ&クラフツ運動を、現代の情報革命時代に重ねているというのがその背景にはある。
「カサ ロエベ 東京」の限定商品は、“ゲート”シリーズのトートバッグのミニサイズのラストカラー(26万8000円)。旅先のおみやげの絵ハガキのようなイメージの“ポスタル”バッグの東京柄(29万円)は、同店先行発売となる。