2015年春夏メンズ・コレクションがロンドンとミラノ、パリで発表された。長らくブームを巻き起こしていた、アイキャッチなモチーフや色使いが目を引く“カワイイ”スタイルは落ち着き、1990年代のリバイバルを予感させるモードなレイヤードが各都市を席巻した。そんな流れを汲み、90年代ムードを盛り上げる立役者としてランウェイにカムバックしたのがデニムだ。トレンドとして浮上した、ワントーンでまとめるミニマルなレイヤード、ヘルシー志向を受けキレイめに進化したグランジという2つのスタイルにおいて、重要なアイテムとなっている。前者では、生っぽいクリーンなリジッドデニムをセットアップで提案するブランドが続出。対して、後者の主役はストーンウォッシュやダメージデニム。あくまでキレイに大人っぽくまとめることで、ハードコアになり過ぎない大人の現代流グランジが完成する。
生デニムで仕立てたモードなセットアップ
ミニマルなワントーンレイヤードの主役に躍り出た、デニムのセットアップ。ともすれば難易度の高いデニム・オン・デニムのスタイルは、深いインディゴのリジッドデニムを採用することで、ぐっと取り入れやすくクリーンな装いになる。ミラノのトレンドセッター「プラダ(PRADA)」は、ジャケットやコートといった定番の人気アイテムをデニムで仕立て、ポケットやラペルをかたどったステッチワークを加えたことで、クラシックをアップデート。「アンドレア ポンピリオ(ANDREA POMPILIO)」は、濃いインディゴのデニムがスポーティなレイヤードを引き締めた。バリッとカタいデニムではなく、着心地の良さを感じさせるコンフォータブルな柔らかさも重要。
ボロボロはNG。品良くエレガントに着こなして
90’sといえば、ハードダメージのデニムやネルシャツなどを合わせるグランジルックがブームだった。一方、今時のグランジレイヤードは、シックでモダンな佇まいであることが大前提。例えば「ディオール オム(DIOR HOMME)」は、スーツの上にクレヨンで描いたようなアーティスティックな花柄をのせたGジャンをレイヤード。構築的なシルエットのスーツスタイルに、スポーティな若々しさをプラスした。フレンチトラッドが得意な「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTIUSSI)」は、マスタードカラーのニットやウォッシュドデニムといったカレッジスタイルに、大人のテーラードコートを羽織ることで今っぽいスタイルに変化させた。ダメージデニムは、ノーブルな品性に加えるフレッシュな若々しいスパイスだ。