「ディオール(DIOR)」は11月22日、同日リニューアルオープンする渋谷パルコの1階にメンズのポップアップストアをオープンする。2020年1月21日まで。販売するのは、20年春夏メンズのランウエイで発表し、話題となった「リモワ(RIMOWA)」とのコラボレーションと、メンズの定番アイテムをそろえる「ディオール エッセンシャル」だ。同ポップアップはその後、北京、米マイアミ、ドバイ、香港と世界を巡回する。
ポップアップでは、「リモワ」の定番“キャビン”と“トランク”、ランウエイではモデルが小脇に抱えていた“ハンドケース”を販売。いずれもシルバーとマットブラック、グラデーションブルーに染まり、メゾンにとってのアイコン柄「ディオール オブリーク」に彩られる。クロスボディーの“パーソナル”は、軽量のアルミニウムケースで携帯性も高く、ピンクも販売。ブルーとピンクは、20年春夏のコレクションの制作にあたって協業した色覚異常のアーティスト、ダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)の色の世界だ。ダニエルはもともと、色がほとんど識別できないが、最近は医学の進歩により誕生した特殊なコンタクトレンズを装着すると、モノトーンの世界に淡いピンクとブルーが現れるという。
コレクションについて、メンズのアーティスティック ディレクターを務めるキム・ジョーンズ(Kim Jones)に聞いた。
WWD:今回のコラボレーションでは、どんなアイテムを作りたかった?
キム・ジョーンズ(以下、キム):「ディオール」にとっては機能的なトラベルアイテム、「リモワ」にとっては普段使いのアクセサリーという、2つのメゾンにとって新しい挑戦となるプロダクトが作りたかった。そこに財布やスマートフォンなど、みんなにとって大事なアイテムを入れて欲しい。
WWD:「リモワ」と言えば、ラゲージのイメージ。キムにとってのブランドイメージは、それとは異なっている?
キム:僕にとっての「リモワ」は、忙しい人に寄り添うライフスタイルブランド。そこにシャンパンケースなど、既成概念を超越するラグジュアリー・アイテムを加えることで、ブランドイメージを広げてみたかった。
WWD:コラボレーションに先駆けて、今年は「リモワ」の広告塔も務めたが、感想は?正直、キムはシャイだから、勇気のいる仕事だったと思う。
キム:そうだね。僕は生来の人見知りだけれど、そのせいか皆が褒めてくれたし、いろんな反響をもらったよ。巨大なビルボードに映る自分の姿を見たときは、なんだかヘンな感じだったけれど、一生に一度の思い出だね。
WWD:広告塔を務め、さらに一緒にコレクションを作ったことで改めて気づいた「リモワ」の魅力は?
キム:最高の機能性を誇るブランドで、改めて、もっともっと大きなグローバルブランドになれると実感したよ。アレクサンドル(・アルノー(Alexandre Arnault)=リモワ共同最高経営責任者(CEO))は大きな野望を抱えているけれど、きっと実現できると思う。
WWD:キムは「餅は餅屋」、信頼し、得意な人にある程度を任せるチームワークを信条としているけれど、今回のコラボレーションでも「リモワ」のスタッフに助けられた?
キム:「リモワ」の商品づくりは、とってもインダストリアル。可能・不可能を知るベテランとの協業は欠かせないし、自然な選択だった。
WWD:ブルーやピンクは、ダニエルの色の世界だが、彼はコラボ・コレクションの制作にも参画している?
キム:20年の春夏コレクションをベースに、2人で色を選んだんだ。だから、ダニエルはコラボコレクションにも欠かせない存在。ブルーやピンクは、ダニエルの色。そのほかの色は、とっても「ディオール」だ。
WWD:「ディオール」でのキムは常に、エレガントな洋服にストリートライクなアクセサリーを組み合わせ、遊び心を表現しているように見える。
キム:アクセサリーは、楽しい存在であるべきだと思っている。機能的で、毎日の生活に欠かせないものだけれど、同時に個々が自由奔放に組み合わせて自分らしさを表現できるアイテムでもある。僕は、そんなアイテムを提案して、みんなの工夫したスタイリングを見るのが大好きなんだ。