「WWDジャパン」11月25日号は、サステナビリティ特集です。僕は同特集の取材で、繊維商社の豊島の担当者とトルコに飛びました。棉(めん)花農場や紡績工場を訪れたのですが、そちらの詳細はぜひ本紙をご覧ください。トルコは、ずっと行きたかった国で、実はハネムーンの目的地だったんですが諸事情で断念していました……。出張取材を伝えると当然、妻からは特大の嫉妬を頂戴しました。海外出張準備にかこつけて大きな買い物をするというのが僕の戦法ですが、今回ばかりはそれもはばかられるくらい。でも、もちろん初志貫徹です!トルコ人の度肝を抜くべくセレクトしたのは、日本ブランド「アジャスタブル・コスチューム(ADJUSTABLE COSTUME)」の秋カラーのスリーピースです。
小高一樹デザイナーは、ドン小西の「フィッチェ・ウォーモ(FICCE UOMO)」やアメカジブランドの「ザ・リアルマッコイズ(THE REAL MCCOY'S)」「フェローズ(PHERROW‘S)」などを経て、2011年に「アジャスタブル・コスチューム」をスタートさせました。1920~40年代のアメリカのビンテージスタイルをモダナイズしたアイテムを作っています。
「このスリーピースは生地選びからこだわりました」と小高デザイナー。なるほど、コーデュロイの上にヘリンボーン柄をプリントした生地は、なかなかにユニークです。ジャケットのデザインは30年代の資料から着想したそうで、後ろ身頃にウエストベルトを備えてピンチバック仕様にしています。ベストはラペル付きだから単独で着用しても様になります。パンツはゆったりシルエット。僕は裾を5cm幅のダブルにし、ノーブレークで仕上げました。価格はジャケットが5万1800円、ベストが3万1800円、パンツが2万9800円。ハイ、妻には絶対この記事を見せられません……。
でも、新たなスリーピースに合わせる小物も欲しい……。特にナットボタン付きのパンツにはサスペンダーが必須で、「アジャスタブル・コスチューム」が1820年創業の英国のサスペンダー専業ブランド「アルバートサーストン(ALBERT THURSTON)」に別注した品をチョイスしました(2万4800円)。なんといっても英国人デザイナー、ウィリアム・モリス(William Morris)の“いちご泥棒”柄ですからね。もう、ここまで来たら後戻りはできません。「同柄のネクタイ(1万2800円)もください!」です。しめて15万円オーバー……。
トルコではイスタンブールと西部のイズミルに滞在したのですが、いずれも東京より気温が3~4度高く、特にイズミルでは皆Tシャツ姿で、コーデュロイのスリーピースを着た東洋人は僕1人。いいんです、ファッションは痩せ我慢ですもんね(笑)。おかげでたくさんのトルコ人から、「いいね!」をいただきました。本当に親日家ばかりで、イスタンブールでは日本語を話す人も多いんです。「一緒に写真撮ってよ」とも言われ、秋カラーのスリーピースのおかげですっかり異文化交流できました。15万円の価値はあったと確信しています!全員ヒゲ面のおっさんで女子はゼロでしたが……。