カイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)は自身が手掛けるコスメ企業、カイリー・コスメティクス(KYLIE COSMETICS)の株式51%をコティ(COTY)に約6億ドル(約654億円)で売却した。なお、カイリー・コスメティクスの企業価値は12億ドル(約1308億円)とされる。
コティは「カバーガール(COVERGIRL)」「リンメル(RIMMEL)」などのマス向けコスメが苦戦しており、19年度の決算は赤字を招いた。再建を図るためにも「ウエラ(WELLA)」や「クレオール(CLAIROL)」を含むプロフェッショナル事業部の売却を検討している最中だが、急速にビジネスを拡大し続け、ジェネレーションZに人気のカイリー・コスメティクスは大きな収入源になる。ピエール・ロビー(Pierre Laubies)=コティ最高経営責任者は「カイリーは、ビジネスにおけるリーチより、ソーシャルリーチが大きいところがユニーク。グローバル企業と組むことで彼女のビジネスのポテンシャルを最大限に生かせるだろう。今までD2Cメインで展開してきたが、今後はより多くのマーケットに進出し、小売店にも卸したい」と意気込む。
カイリーは2015年にリップキットの発売でブランドをスタートさせた。現在インスタグラムで1億5100万のフォロワーを抱える彼女は、SNS上でファンとダイレクトにコミュニケーションを図り製品をプロモーションしてきた。その結果製品はたびたび完売となり、立ち上げ18カ月で売り上げ4億2000万ドル(約457億円)をオンラインのみで達成した。その後ウルタ(ULTA)や「トップショップ(TOPSHOP)」と協業してリテールにも進出。過去12カ月での売り上げは前年比40%増の1億7700万ドル(約192億円)を記録し、19年度末は 2億ドル(約218億円)に上るとされている。そのうち、今年5月に立ち上げたスキンケアライン「カイリー スキン(KYLIE SKIN)」の売り上げは2500万ドル(約27億円)だという。