久しぶりにロングブーツが冬シューズの主役に返り咲きそうです。ブームが続いたスニーカーから、ロングブーツに履き替えるだけで、スタイリッシュなムードに様変わり。着丈が長めのジャケットや膝下レングスのロングスカートと組み合わせる“ロング×ロング”の組み合わせが落ち感を際立たせてくれます。
ロングブーツ復活の火付け役となったのは、2019-20年秋冬パリ・ファッション・ウイークで「セリーヌ(CELINE)」が披露したルックと言えるでしょう。アニマル柄のワンピースに、端正なテーラードジャケットをオン。クールな装いの決め手は足元です。ロングワンピースとロングブーツを交わらせて、ブルジョワシック(淑女・貴族風)な着映えに仕上げました。
ストリート気分が一段落したこともあって、レディーライクなアイテムが浮上し、スニーカーからの乗り換え先としてロングブーツも再評価された格好です。ヨーロッパブランドから飛び火する形で、日本ブランドからも相次いで提案されています。今回は、すぐに取り入れられる、リアルなロングブーツのスタイリングプランをご紹介します。
◆フェミニンなワンピースに
スパイスを少々
やわらかい表情を帯びたワンピースとのコーディネートは、ロングブーツのスタイリッシュな持ち味を引き立てます。「ミディウミソリッド(MIDIUMISOLID)」はカーキのワンピースに、明るいブラウン系ロングブーツを合わせました。カラートーンが違っているおかげで、脚が引き締まって見えます。目を引く色をブーツに生かすと、印象的な足元に。ワンピースの裾がアシンメトリー感を加えました。カーディガンを羽織って、全体に落ち感を漂わせています。
オレンジ系のワンピースに、ベージュ系ロングブーツをマッチさせたのは「ラグナムーン(LAGUNAMOON)」(写真2枚目)。トーンが似通ったコンビネーションは、落ち着いた着映えに導いてくれます。ベージュのロングブーツはまるで生足のようにヌーディーな見え具合。色味の異なるコートもロング丈なので、“ロング×3”の相乗効果でストンとしたシルエットに仕上がりました。
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◆薄手スカートとのコンビで
風合いコントラスト
同系色が響き合う“ワントーン”のコーデは、秋冬らしいシックな装いにまとめられます。「バナーバレット(BANNER BARRETT)」はチョコレートカラーを軸に、上から下まで近い色味でそろえました。シフォン生地のロング丈プリーツスカートと、わずかにトーンが濃いロングブーツでセット。細いプリーツのイメージが効いて、スッキリした印象が強まっています。
ワントーンのまとめ方とは反対に、スカートとブーツの色や柄をずらす組み合わせ方も使えます。「エヴリス(EVRIS)」(2枚目)はシフォン素材の総柄スカートに、黒いロングブーツを合わせ、質感のコントラストを際立たせました。薄手のシフォンが一段と軽やかに見えるのは、ダークでマットなブーツのおかげ。ゆるっとしたニットトップスも風合い違いのコーデに深みを与えています。
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◆パンツをブーツインで
“エエかっこ”レッグに
パンツルックを一段とすっきり見せる小技に、パンツ裾をブーツに収める“ブーツイン”があります。「スエサダ(SUESADA)」のコーデではブラックパンツとブラウンブーツのバイカラー(2色使い)でレッグラインを強調。パンツのたるみがドレープになってニュアンスを帯びました。量感のたっぷりしたマントを羽織って、ブーツインとのボリューム格差を印象づけています。
ブーツインの強みであるほっそりイメージを強調するには、ベルトやハーネスも使えます。「アングリッド(UNGRID)」はスキニーパンツの裾をブーツイン。スティックライクな脚を描き出しました。レギンスやスリムジーンズにも応用できるアレンジです。同時に、上半身でもゆったりしたカットソーの上から、ハーネス風にベルトでボディを締めました。トップスとの丈違いレイヤードも縦長イメージを強めています。
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ぬくもりを保ちやすいロングブーツは、冬本番の強力なパートナー。でも、防寒だけではなく、冬ルックのかさばりを遠ざける切り札ピースにもなってくれるのがうれしいところ。ロング丈ウエアと組み合わせるほか、風合いずらし、ブーツインなどのコーデ技を取り入れれば、細長いシルエットが手に入ります。レディーライク、“強い女”風、ロック系など、思い通りの着こなしが割と簡単に決まるから、わがままアレンジの試し甲斐があります。
ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い