ファッション

ブランド設立25周年の英「オールセインツ」 「今後5年でアジア売り上げを全体の3割にまで高める」

 「オールセインツ(ALLSAINTS)」は、1994年に英国でスタートしたファッションブランド。日本には2016年春に本格上陸し、現在は東京・神宮前の路面店や百貨店インショップなど、直営店を14(期間限定店含む)運営。アウトレット3店とオンラインストアを含めると、販路は18にまで広がった。9月に三越銀座店でウィメンズのポップアップストアを開催したのに続き、12月4~10日には六本木のイセタンサローネでもポップアップストアを開くなど、日本ではこのところ積極的に次なるステップを探している。来日したピーター・ウッド(Peter Wood)最高経営責任者(CEO)に、ビジネスの今後を聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):改めて、「オールセインツ」とはどういうブランドか?

ピーター・ウッドCEO(以下、ウッドCEO):1994年にスタートし、今年で25周年を迎えた。お客さまは男女半々ずつで、年齢層も幅広い。収入レベルも多岐に渡る。2018年のグローバルでの売り上げは約3億3100万ポンド(約466億円)だった。英国内とそれ以外の売り上げは半分ずつだ。ブランドとしては25年の歴史があるが、米国やカナダなど、英国外に事業を広げたのは9年前。アジアでもビジネスを始めたのは6年前だ。現在は26の国と地域で255店を運営している。

WWD:日本やアジアでの売り上げ推移は?

ウッドCEO:日本での売り上げは公表していないが、2ケタ成長を続けている。アジアの売り上げは全体の約1割だ。これを、今後5年以内に3割にまで高めたい。アジアは日本の他、韓国、台湾しか進出していない。他国や他地域からも出店依頼は多数届いているので、5年以内にアジア売り上げを全体の3割にまで高めるという目標は達成可能だ。日本は上陸してまだ3年しか歴史がないが、とてもうまくいっている。

WWD:日本での今後の出店計画は?

ウッドCEO:今まさに計画策定中であり、日本での具体的な出店プランは明かせない。しかし、5年以内にアジア売り上げを全体の3割へという目標のもとで、日本が大きな役割を果たすことは間違いない。現在、(日本では)百貨店インショップなどを中心に出店しているが、空港内の免税店など、幅広い販路に広げていく。一般的に言って、免税店はアジアが先行しているチャネルでもある。また、グローバルでは売り上げの男女比は半々だが、日本ではウィメンズの売り上げの方が大きい。今後は、メンズでもより多くのお客さまにアプローチしていきたいと考えている。バッグやシューズのみの店も日本国内に3店あるが、そうした形での出店も継続していく。

WWD:日本でもグローバルでも売り上げ好調ということだが、成長の原動力は何なのか?

ウッドCEO:(レザージャケットがブランドアイコンとして定着しているが)昨年はドレスの売り上げがアジア地域で一昨年の1.4倍に、グローバルで同じく1.5倍に伸びた。「オールセインツ」はレザージャケットだけのブランドではない。われわれにはパワフルなデザインチームがロンドンにいて、店でかける音楽から店頭ビジュアル、什器まで全て製作している。新カテゴリーとしては、今秋にはメンズウオッチをローンチ、ジュエリーも英国など一部でスタートした。

WWD:2000年代初頭にECにチャレンジするなど、デジタルの取り組みも早くから行ってきた。

ウッドCEO:ECももちろん社内のチームで構築している。ただ、各国向けのECサイトは国ごとにベンダーと取り組んでいる。「オールセインツ」には全世界で3000人以上の従業員がいて、平均25歳。われわれはグーグルのプラットフォームで社内の情報共有を行っていて、3000人から常に新しいアイデアや意見が上がってくる。それが、会社として新しいことに早くから取り組めている秘けつの1つだ。そのプラットフォーム上で僕は3カ月戦略も動画などでシェアしている。社員は常に何が起こっているか把握できる環境で、プラットフォーム経由で僕にアドバイスもできる。「オールセインツ」は、グーグルのプラットフォームをいち早く取り入れたファッションブランドだ。

WWD:今後、目標を遂行していく上で重視していくことは。

ウッドCEO:最も大切にしているのは商品だ。そして、人や、人を通したコミュニケーション。従業員3000人は、彼らがそのままインフルエンサーでもある。重要なのは、3000人が楽しく仕事をできるかどうか。何年以内に何店出店するといったようなことはわれわれのKPIではない。3000人の社員の中には、毎日SNSに自発的にブランドの商品をアップしてくれている人もいる。売り上げの数字だけを追いかけるような働き方はしてほしくない。気分よく働いて、自社の商品を愛してお客さまに届けるというのを続けていれば、自然と売り上げはついてくるはずだ。

WWD:サステナビリティについての考え方は?世の中には、「レザーを使わないことがサステナビリティ」だとする見方をする人もいるが。

ウッドCEO:サステナビリティについてはさまざまな定義があるが、私の考え方はとてもシンプルだ。モノがどこでどのように作られているのかを自分たちがしっかり認識して、それをお客さまに伝えること。それこそがサステナビリティだと考えており、それについてもう少し詳しく説明するタグを、来年から商品には付けていく計画だ。これも若い社員たちが自発的に考えて生み出したもの。生産については、家族のようなサプライヤー(工場)と組んでいるので、誇りを持ってわれわれの製品を作ってくれている。

WWD:日本市場では、「フォーエバー21(FOREVER21)」や「アメリカンイーグル アウトフィッターズ(AMERICAN EAGLE OUTFITTERS)」など、外資ブランドの撤退が相次いでいる。

ウッドCEO:撤退するブランドがあればそれはわれわれにとっていい機会にもなると捉えている。リスクは常にチャンスでもある。日本市場は引き続きわれわれにとって重要な市場だ。

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