百貨店主要5社の11月度の売上高(既存店ベース)は、各社5~10%程度前年実績を下回った。比較的高い気温が続いたことで、ボリューム層の婦人服で重衣料が動かなかったことが響いた。一方、増税や台風の影響で2割近く前年実績を下回った10月と比較すれば、全体的に業績は上向き傾向。春物バッグの投入が始まった特選婦人雑貨など、すでに増税前の水準近くまで回復しているカテゴリーもある。
11月の各社の既存店売上高は、三越伊勢丹が前年同月比6.7%減、高島屋が同4.4%減、大丸松坂屋百貨店が同8.5%減、そごう・西武が同5.3%減、阪急阪神百貨店が同5.3%減だった。
高島屋は婦人服が同8.1%減。中でもコート類(同17%減)が足を引っ張った。そごう・西武は、婦人のコート・ニットが前年を割ったのに対し、シャツ・カットソーなどが前年を超える結果となり、「MDとお客さまの消費マインドがズレにより、単価が大きく下がった」(同社広報)。
政治問題や為替の影響でインバウンド需要の低調が続いているが、特選カテゴリーが国内需要で息を吹き返している。伊勢丹新宿本店は館の売上高が同16%増で、春物バッグの投入で活気づいた婦人の特選売り場がけん引した。高島屋は免税売上高が同13%減とするも、特選衣料雑貨はプラスに転じた。大丸松坂屋百貨店も特選カテゴリーは前年並みまで回復(10月は同2ケタ減)している。
美術・宝飾・時計などの高額品カテゴリーは、増税前の駆け込みの反動がまだ残る。高島屋で同12.8%減、大丸松坂屋は約20%減。基礎化粧品の買いだめなどが増税前に目立った化粧品カテゴリーも、全体的に低調が続く。
各百貨店は年末商戦を契機に、さらなる消費意欲の喚起を図る。三越伊勢丹は伊勢丹新宿本店で行った催事「英国展」が同2ケタ増で、阪急うめだ本店は「ファッションナイトアウト」などイベントが集客につながった。「節約マインドの中、年末だからこそギフトや家族で楽しめる催事などを用意することが大事になる」(そごう・西武広報)。