ファッション

私たちは購うことでYES/NOを ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.8「理想は廃棄ゼロ 新基準は循環型ファッション」

読み解きポイント:「それぞれの切り口で廃棄ゼロを実現!」

ニュースのポイント

 「サステナブル」が目指す「循環型」とは、素材を有効活用する廃棄ゼロのクローズドループを作ること。そこでは再生やリサイクルを前提としたモノづくりや、製造段階から廃棄物を減らして地球環境への負荷を減らすことが求められている。それだけではなく商品寿命を伸ばすことも視野に入れ、販売だけではなく修理やレンタル、リセールなどのサービスも含めたビジネスモデルを考える必要がある。100%リサイクル可能なランニングシューズの第二世代を発表した「アディダス(ADIDAS)」や、古着回収やレンタル、リセールに力を入れている「H&M」など、多くの大手アパレルが循環型経済に向けた様々な施策を講じている。

Azuはこう読む!

 今年に入り、ファッション業界で一気に耳にするようになったワード「サステナブル」。メディアに取り上げられたり、他企業が高らかに宣言したりする以前から地道に取り組んできた企業も多いかと思いますが、これだけ言葉が普及すること自体はとても良いことだと思っています。

 先日、ノルウェー大使館で開催された、日本のファッション業界とノルウェーブランドをつなぐ交流会「N5_2019」に参加してきました。昨年から続く3カ年プロジェクトで、ノルウェーブランドの成長を継続して見ることができます。

 話をしていると、どのブランドからもあたりまえのように「環境への配慮」といったキーワードは出てきますが、メンズウエアブランド「フラム(FRAM)」もそのひとつ。ノルウェー語で「前進」を意味する「フラム」は、ノルウェーの探検家・天候科学者・神経生物学教授、そしてノーベル平和賞受賞者でもあるフリチョフ・ナンセン(Fridtjof Nansen)の活動にインスパイアされたブランド。「前進への唯一の方法は、過去を認め尊重することだ」という彼の信念を掲げています。

 ワークウエアとストリートがハイブリッドされた洋服たちは、スマートでクリーンな印象。トゥーマッチではない機能性やデザインの削ぎ落とし方など、常に厳しい自然と隣り合わせのライフスタイルを送る彼らだからこそ、それらがナチュラルにできているのだなと思いました。

 そして「サステナブル」に関しても捉え方はさまざま。例えば地産地製(という造語)。「アトリエのすぐ近くで作っている生地なんだ。そこで買ってここで縫うの」といって見せてくれたシャツや、地元のウールで作られたニットなど、安定して商品が作れるように生産者の顔が見える距離でのモノづくりを心がけているそう。そしてデザインも「サステナブル」。春夏・秋冬で明確に差があるわけではなく、シーズンをまたいでも自然に着られるようなタイムレス・シーズンレスなデザインや色使いが特徴です。こうした「ロングラスティング」な視線は素材にも向けていて「耐久性のある素材を使うと何年も着ることができるから、それが結局『消費しない』という行動につながるのでサステナブルなんだ」と語ってくれました。

 まさにこれは廃棄ゼロに向けた行動で、正直ブランド的には長く着られたら買い換えてもらえないマイナスの側面もあるのに、そこを言い切ってしまうのは本当にかっこいい。

 そして「前進への唯一の方法は過去を認め尊重することだ」という言葉も心に刻みました。と同時に、こんな話を思い出しました。「すでに毛皮に加工されているリアルファーが『環境に配慮していない』と嫌厭されて売れ残る現実は、サステナブルと言えるのか?」という話。ミスター・ナンセンの言葉を借りるなら、それは過去を認めていない、前進とは言い難い行為なのではないでしょうか。「サステナブルな素材を使いたいのに、金銭面や他企業の買い占めなどで調達が難しい」という話も聞きます。

 大手企業・中小・若手、それぞれできるサステナブルへのアプローチは異なってくるので、廃棄ゼロの循環型ファッションを業界全体で目指すべく、できることからコツコツと続けていきたいですね。そしてこうした企業の行動を支持するのは消費者なので、私たちは購買行動でYES/NOを示していきましょう。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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