※この記事は2019年5月28日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Edito's Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
「ヨウジヤマモト」の服は手ぶらが似合う
「ワイズ(Y’S)」がアルカンターラ(ALCANTARA)とコラボレーションし、5年ぶりのショーを5月25日の土曜日に開きました。日中の用事を済ませて一度帰宅をし、一杯入れつつ「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」の服に着替えて表参道ヒルズへ。バッグは持たずにポケットには名刺入れとスマホだけ。その名刺入れにはカード2枚と鍵も入れて荷物は以上、手ぶらです。何という開放感!訪日観光客でごった返す表参道の人込みも手ぶらなら気にならず、ケヤキ並木の新緑が心なしかきれいに見えました。
バッグを持たないということは、リップやら充電器やらノートやらを諦めるということですが、それでも手ぶらにしたのはその方が「ヨウジヤマモト」の服を楽しめるからです。これを言うとヨウジヤマモト社のM木さんあたりから突っ込みが入りそうですが、「ヨウジヤマモト」の服はバッグを持たない方が断然きれいに見えると思います。所在ない手はポケットに突っ込んで、ゆっくりと歩くべし。
聞きかじった話ですが、縄文時代の女たちは山菜を採取し木の実を拾うことが仕事のひとつであり、大切な収穫物を持ち帰るためにカゴや器を使っていたそうです。そのDNAが今に引き継がれているから女性はバッグが好きだし、大切にするのだとか。真偽はさておき、もっともらしい話ですよね。
「ヨウジヤマモト」を着る縄文人の女性がいたなら、彼女はどうしていたでしょうか?器は持ち歩かずに木の実は今日明日食べる分だけ拾い、時には男たちの狩りに同行しているのでしょうか?
「ワイズ」ブランドにおける耀司さんの立場は監修であり、実際のデザインは同社のネクストリーダーたちが行っています。今回のショーで見た彼らが作る「ワイズ」も「ヨウジヤマモト」と同様、いわゆるハンドバッグは似合いません。良い意味で。ショーに登場した武具みたいなボディーバッグなら別ですけどね。そういった意味でも、山本耀司のDNAは同社の中でしっかり引き継がれていると再確認しました。
【追記 2019年12月4日】
こちらのレター(メルマガ)を書いたのは今年の5月でした。その後、9月に「ヨウジヤマモト」2020年春夏コレクションを見て、前言撤回。フィナーレ近くに登場したバッグは服と着る人と馴染むデザインで、「ヨウジヤマモト」のスタイルを奪うことなく存在していました。
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