「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」などを擁するLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)のワイン&スピリッツ部門は、仏プロヴァンス地方にある名門ワイナリーのシャトー・デスクラン(CHATEAU D’ESCLANS)の株式過半を取得したことを11月29日に発表した。
同ワイナリーの歴史は古く、創業は11世紀ごろにまでさかのぼるといわれている。これまでさまざまなオーナーの手を経てきたが、現在社長を務めているサシャ・リシーヌ(Sacha Lichine)が2006年に買収して以降、質の高いワインを生産することで有名になった。代表的な商品として、高級ロゼワインの“ガリュス(GARRUS)”や、米国でベストセラーとなっているロゼワインの“ウィスパリング・エンジェル(WHISPERING ANGEL)”などがある。
取引の詳細は明らかにされていないが、LVMHはリシーヌ社長が保有する株式の5%と、同ワイナリーのパートナーであるシンガポール企業アリックス・エーエム(ALIX AM)が保有していた株式50%を全て取得している。経営に関しては、リシーヌ社長が続投して今後もワイナリーを率いていく。なお同氏は、“ワインの法王”と呼ばれた故アレクシス・リシーヌ(Alexis Lichine)氏の息子で、自身も若い頃からワインビジネスを手掛けている。
LVMHはティファニー(TIFFANY & CO.)を162億ドル(約1兆7658億円)で買収したことを11月25日に発表したばかりだが、5月には名門ワイナリーであるシャトー・デュ・ガルペ(CHATEAU DU GALOUPET)を買収しており、ワイン&スピリッツ部門は26のメゾンを抱えている。またホスピタリティー関連事業にも力を入れており、同社が手掛ける「シュヴァル・ブラン(Cheval Blanc)」ホテルは現在サントロペ、フランス南東部のクールシュヴェル、モルディブのランデリ島、カリブ海のサン・バルテルミー島の4カ所にあるが、20年4月にはパリ中心部のセーヌ川沿いにもオープンする予定だ。