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米ホリデー商戦、「サイバーマンデー」は過去最高の1兆円超え 期間の短さが焦りをあおる

 今年も米国のホリデー商戦が始まった。感謝祭の翌日である11月29日の「ブラックフライデー」から12月2日の「サイバーマンデー」へと続く週末はその行方を占う試金石といわれているが、過去最高の売り上げで非常に好調な出だしとなった。

 アドビ・アナリティクス(ADOBE ANALYTICS)によれば、「サイバーマンデー」のオンラインでの売上高は同社の予想通り94億ドル(約1兆246億円)に達し、昨年の79億ドル(約8611億円)を18.9%上回った。なお、「ブラックフライデー」も同22.3%増の54億ドル(約5886億円)と好調だった。11月1日から「サイバーマンデー」までの累計では同13.9%増の815億ドル(約8兆8835億円)となっており、同社によるホリデー商戦全体での売上高予想である1438億ドル(約15兆6742億円)の半分以上をすでに達成したことになる。

 全米小売業連盟(National Retail Federation以下、NRF)と米市場分析会社プロスパー・インサイツ&アナリティクス(PROSPER INSIGHTS & ANALYTICS)の調査によれば、感謝祭から「サイバーマンデー」までの5日間でおよそ1億8960万人の米国人が買い物をしており、これは昨年の1億6580万人を14.3%上回っている。金額で見ると、同期間における1人当たりの消費額は同15.5%増の361ドル(約3万9000円)だった。年齢別では25~34歳の消費額が440ドル(約4万7960円)と最も多く、次いで35~44歳の439ドル(約4万7850円)とヤングアダルト層が消費をけん引していることが明らかになった。

 なお、同調査によれば1億4220万人がECサイトで、1億2400万人が実店舗で買い物をしている。つまり重複分の7660万人がその両方で買い物をしていることになり、“ECと実店舗でのシームレスな買い物”が増加していることが分かる。こうしたマルチチャネルを利用する消費者は平均366ドル(約3万9800円)を使っており、単一のチャネルだけで買い物をする消費者より25%程度多く消費しているという。

 カナダ発EC構築プラットフォーム企業のショッピファイ(SHOPIFY)は、175カ国以上で合計29億ドル(約3161億円)を売り上げ、そのうち69%がモバイル機器からのものだった。アマゾン(AMAZON)は金額などの詳細を発表していないが、今年の「サイバーマンデー」では1日あたりに世界中で注文された商品数の最高記録を更新したという。

 一方で、米卸売店コストコ(COSTCO)のECサイトは11月28日の夜から16時間にわたってダウンし、およそ1100万ドル(約11億円)の機会損失となった。また電動洗顔ブラシなどを製造するスウェーデン企業フォレオ(FOREO)のECサイトでは、279ドル(約3万円)の美容機器を誤って9.90ドル(約1000円)と掲載し、3万8575台を売ってしまったという。同社は販売分についてはそのままの価格とすることを発表しており、1000万ドル(約10億円)程度の損失となった。

 こうした一部の“事故”を除いて「サイバーマンデー」の売り上げは全体に好調だったが、油断は禁物だと話す関係者もいる。感謝祭は11月の第4木曜日であるため毎年日付が異なり、今年はそれが11月28日と遅かったことから、ホリデーシーズンが例年より6日間短いのだ。マシュー・シェイ(Matthew Shay)NRF会長兼最高経営責任者は、「出足が好調だった一因として、いつもはギリギリまでプレゼントを買わない人でも『今年は早くしないと間に合わない』と焦って用意したことが挙げられる」と語った。

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