ファッション

リアーナの登場に4冠の「ボッテガ・ヴェネタ」 「ザ ファッション アワード 2019」が開催

 英国ファッション協議会(The British Fashion Council)は、今年ファッション業界の発展に貢献した人物やビジネスを称える「ザ ファッション アワード(The Fashion Awards) 2019」を開催した。

 最も注目すべきは、本年度の「ブランド・オブ・ザ・イヤー(Brand of the Year)」「アクセサリー・デザイナー・オブ・ザ・イヤー(Accessories Designer of the Year)」「ブリティッシュ・デザイナー・オブ・ザ・イヤー・ウィメンズウエア(British Designer of the Year Womenswear)」「デザイナー・オブ・ザ・イヤー(Designer of the Year)」の4冠を受賞した「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のダニエル・リー(Daniel Lee)クリエイティブ・ディレクターだろう。

 ロイヤル・アルバート・ホール(Royal Albert Hall)で行われる毎年恒例のこのイベントは、巨大な枕からダウンジャケット、コルセットドレスまで、すべて真っ白な作品という、セントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins)の学生による“ホワイトショー”で幕を開けた。また、英国のラッパー、リトル・シムズ(Little Simz)は、権力と女性らしさを歌った曲で政治的なメッセージを込めたパフォーマンスを行った。

 今年はホストやスピーカーによる政治的なコメントが目立つ式典となった。エミー賞受賞女優でプレゼンターでもあるトレーシー・エリス・ロス(Tracee Ellis Ross)は、「ブレグジットは本当に理解できないけれど、ファッションとクランペット、メーガン妃、ハリー・スタイル(Harry Styles)は分かる」と話し、花のクリスタルで飾られた「リチャード クイン(RICHARD QUINN)」のケープをまとって歌った。会場にはトム・クルーズ(Tom Cruise)やドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)、ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)、ケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)、ジュリア・ロバーツ(Julia Roberts)といったそうそうたるゲストが来場した。

 中でもゲストが興奮したのはリアーナ(Rihanna)だ。彼女のブランド「フェンティ(FENTY)」 による「アーバン・ルクス(Urban Luxe)」受賞を称えるため、ジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)がサプライズで登場。「リアーナ、あなたのスタイルは人々から愛され、アーティスト、起業家、そしてLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(以下、LVMH)でブランドを立ち上げた初の黒人女性として尊敬されているわ」と祝辞を述べた。

 リアーナは受賞スピーチで、「まず最初に、ステファニー・フェア(Stephanie Phair)、あなたは私の心を強く掴んでいるわ」と、英国ファッション協議会会長に話しかけた。そして、「若い黒人女性である私を信じ、私が一番好きなことをする機会を与えてくれてありがとう」とLVMHへの感謝を述べた。

 「アクセサリー・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」の受賞についてリーは、「私にとってアクセサリーはモダンな着こなしのカギであり、多くの人々が毎日のスタイルに『ボッテガ・ヴェネタ』を選び、自分を表現してくれていることがうれしい。約1年前まではほとんどの人が私を知らなかったから、舞台裏で仕事に磨きをかけていた」と語った。

 「ブリティッシュ・デザイナー・オブ・ザ・イヤー・メンズウエア(British Designer of the Year Menswear)」は、キム・ジョーンズ(Kim Jones)が受賞した。ドナテラ・ヴェルサーチェは、ジョーンズに代わってこの賞を受け取り、「私の友人が受賞したことを本当に光栄に思う。彼は今マイアミでショーの最後仕上げをしていて、きっと素晴らしいものになるわ」と、ジョーンズをラグジュアリーとストリートウエアを融合させた最初のデザイナーとして称賛した。

 期待の英若手デザイナーに与えられる「ブリティッシュ・エマージング・タレント」部門では、ベサニー・ウィリアムズ(Bethany Williams)とレジーナ・ピョウ(Rejina Pyo)がそれぞれ男性部門と女性部門で受賞した。

 その後、アナ・ウィンター(Anna Wintour)と長年カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)のミューズを務めたアマンダ・ハーレック(Amanda Harlech)が登場し、今年2月に亡くなったデザイナー、カール・ラガーフェルドに賛辞を送った。ウィンターは「シャネル(CHANEL)」が英国ファッション協議会の財団を通じてMA奨学金を支援する計画があることを発表し、「カールのグラマラスなパブリックイメージと甘やかされた猫を知っている人は、この奨学金のニュースに驚くかもしれない」と述べた。「でも、カールはきっと気に入ると思う。新しい世代のデザイナーの必要性を彼以上に理解している人はいなかったから」とハーレックが付け加えた。「ディオール(DIOR)」とLVMHも今年、同財団に寄付をしている。

 その他の受賞者には、「ファッション・アイコン(Fashion Icon)」をナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)が受賞し、ジョニー・アイブ(Jony Ive)は彼女を「無邪気で正直な人」と称賛した。「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」のドレスに身を包んだキャンベルは、有色人種がこの賞を初めて受賞したことを指摘した。ファッション業界の多様性とその欠如については、今回の式典で何度も取り上げられたトピックだった。

 英国ファッション協議会が今回新たに設けた賞「デザイナーズ・デザイナー(Designer’s Designer)」は、クリストファー・ケイン(Christopher Kane)が受賞した。

 セレモニーは「ジョルジオ アルマーニ」のランウエイショーで幕を閉じた。アルマーニは「アウトスタンディング・アチーブメント・アワード(Outstanding Achievement Award)」を受賞。ジュリア・ロバーツは「帝王、そして巨匠として知られているアルマーニほどふさわしい人はいない」と言葉を贈り、アワードを締めくくった。

「ザ ファッション アワード 2019」受賞者全リスト
「ブランド・オブ・ザ・イヤー」 : 「ボッテガ・ヴェネタ」
「ブリティッシュ・エマージング・タレント・メンズウエア」 : べサニー・ウィリアムズ
「ブリティッシュ・エマージング・タレント・ウィメンズウエア」 : レジーナ・ピョウ
「スペシャル・トリビュート」 : カール・ラガーフェルド
「アーバン・ルクス」 : 「フェンティ」
「ビジネス・リーダー」 : レモ・ルッフィーニ=「モンクレール(MONCLER)」会長兼最高経営責任者
「ファッション・アイコン」 : ナオミ・キャンベル
「アクセサリー・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」 : ダニエル・リー
「イザベラ・ブロウ・アワード・フォー・ファッション・クリエイター」 : サム・マックナイト
「デザイナーズ・デザイナー・アワード」 : クリストファー・ケイン
「トレイルブレイザー・アワード」 : サラ・バートン
「ブリティッシュ・デザイナー・オブ・ザ・イヤー・メンズウエア」 : キム・ジョーンズ
「ブリティッシュ・デザイナー・オブ・ザ・イヤー・ウィメンズウエア」 : ダニエル・リー
「モデル・オブ・ザ・イヤー」 : アダット・アケチ
「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」 : ダニエル・リー
「アウトスタンディング・アチーブメント・アワード」 : ジョルジオ・アルマーニ

BOTTEGA VENETA x スナップの記事

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。