大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。
今日のニュース:P.7「メチャカリ」月額39円の勝算
読み解きポイント:メチャカリは、新しいショッピング体験。ストレス発散市場を開拓。
ニュースのポイント
ストライプインターナショナルのファッションサブスクリプションサービス「メチャカリ(MECHAKARI)」が、新規会員向けに月額利用料39円になるキャンペーンを実施(期間:10月25日〜12月10日)。キャンペーン開始から会員は約8000人増え、2万人を突破した。39円の期間を3カ月とすることによって、何度か借りる体験を促進し、定着率を高めるのが狙いとのこと。現在60社150ブランドをそろえ、将来は300ブランドに拡大する予定。
CKRはこう読む!
「服が欲しくなるタイミングで、新しいショッピング体験を提供する」。メチャカリの販売戦略のうまさは、ここにあると思います。
今回のキャンペーン期間は、気温が日に日に下がって「服がもう一枚欲しくなる」季節です。冬服は、夏服と比べ単価も高く、39円のお得感が際立ちます。しかも新作が登場となると、ファッションフリークだけではなく、オシャレに受け身だった人も始めてみようと思うのではないでしょうか。
また、メチャカリの服は新品です。スマホアプリから、コーデ、アイテム、ランキングなどをたどって、自由に選ぶことができます。レンタルですが、ネットで妄想しながら擬似ショッピングできる。実はここが大事だと思うのです。
ストレスが溜まって、気分転換にショッピング。「お金使いすぎたかも」と少し罪悪感にかられながら、「頑張った自分にご褒美」と言い訳する経験。誰しもあると思います。
メチャカリは、それが「定額」なんです。「ストレス発散のためのショッピング」を定額化でできるところに、新たな価値を感じます。
もちろん、SNSで一度アップした服を、もう一度使うのは気が引ける。だから定額レンタルがリーズナブル、というシーンもあるでしょう。しかし、幅広いマスマーケットを考えると、「定額でストレス発散できる市場」の大きさは、どんなに強調してもしすぎることはありません。
服を自社生産するストライプインターナショナルからみたメチャカリは、在庫共有されたECによる販売形態の一つです。「新品で売り切りるか」「メチャカリでレンタルするか」「メチャカリ返却分を新古・中古として売り切りるか」。同じ服でも、販売形態によって商品価格を変えているとも言えます。顧客接点となる販売バリエーションが増えたことで、一人ひとりに最適な購買体験を提供し、より多くの顧客とエンゲージメント強化できるところが特徴です。また、外部にキャッシュアウトが発生する物流費は、返却手数料「380円/回」を利用者が負担することで、コストを抑える工夫をしてます。
次にマス全体で「新しい服」の需要が発生するのは、4月。入学、入社のシーズンです。このあたりで、もう一度キャンペーンを実施し、さらなる会員拡大を狙ってくるかもしれません。
CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中