ジーユー(柚木治社長)は2020年春夏展示会に合わせて、今後の成長戦略や重点ポイントについての会見を行った。「ファッション業界全体が変革の時を迎えている。生活者が服に求める価値が大きく変わってきていると共に、環境意識も高まっている」(柚木社長)ことから、生活者、生産者、地球(環境)への意識をいかにビジネスに生かしていくかといった「3つのコネクト宣言」を発表。その中で、20年春に発売するヤング向けの2つの新ラインや、重点商品の値下げ、国内外の出店計画などについて明かした。
「今の時代は、トレンド分析においても(海外コレクションなどではなく)生活者が最前線となっている」と柚木社長。そこから、「生活者とのコネクト」として、「日本最大級」という自社アプリ会員や、その中でも“神マニア”と呼ぶインフルエンサー、ECサイトに寄せられる口コミ、店頭から吸収する声をどのように製品開発に生かしているかを紹介。今後はさらにその動きを強化する。
具体的には、客からの要望を受け、20年春に2つの新ラインを立ち上げる。18~24歳向けに、よりエッジのきいたトレンドファッションを提案する“ミックス マニア”と、ローティーン向けに親世代の声も多数取り入れて企画した“アンド ラブリー”の2つだ。どちらも国内では大型店とECで販売する。同時に、特に“ミックス マニア”は「アジア市場でも武器になる」として、日本に先駆けて、12月から香港と上海で販売を開始する。
「生産者とのコネクト」としては、品質と価格のバランス追求のために行っている取り組みを紹介。品番数の絞り込み、工場集約、閑散期を使った計画生産とQR(クイックレスポンス)の組み合わせ、素材備蓄といった、19年8月期の過去最高業績を支えた施策と共に、一部の素材生産の東南アジア移転(以前は中国のみ)などを解説した。これらを掛け合わせることで、20年春夏はスエット素材のイージーパンツを、従来の1990円から990円にまで値下げする。「工場と徹底的に話し合い、生産スケジュールを組むことでこの価格を実現した」。他に、Aラインのカットソーワンピース、ブロードシャツ、クロップトレギンスパンツなども重点商品として990円に設定している。
「地球とのコネクト」としては、20年春夏物のジーンズ製品の50%で、ファーストリテイリンググループが開発研究を進めている加工過程での多量の水使用や汚泥の発生を防ぐサステナブルなジーンズを採用。来秋冬には、100%サステナブルジーンズ化を目指す。また、再生ペットボトル繊維を使ったバッグなども発表した。
「ジーユー(GU)」の店舗数は、19年8月期末で国内に421店。海外は現時点でアジアの4カ国・地域に31店を持つ。「海外は20年8月期末に40店にまで増やす。国内はEC化率の向上を前提として、オムニチャネル戦略のもとで出店計画を考えていく」。国内では店舗の純増を追求するよりも、スクラップ&ビルドも含め、「ECとの相乗効果を生む超大型店と、クリック&コレクト(EC購入商品の店頭受け取り)の利便性が高まる生活導線上の立地の2軸で出店を進める」という。