ベイクルーズ グループは2020年春に23~26歳の若手社員4人で手掛ける新ブランド「オリエンス ジャーナルスタンダード(ORIENS JOURNAL STANDARD)」を立ち上げる。メンバーはコンセプターの櫻井花ノ子(24)、プレスの大澤萌夏(25)、MDの長谷川アルファ(23)、VMDの五月女翔(26)で、それぞれが入社1~3年目で抜擢された。全員が仕入れから販売までを行い、ミレニアル世代やZ世代に向けた等身大のファッションを提案する。来年3月にはジャーナルスタンダード神南坂を業態転換し、2層のうちの地下1階の半分を4人のオフィスにする計画。古峯正佳上席取締役副社長は「ミレニアル世代やZ世代に向けたブランド開発が急務だった。僕らがブランドを立ち上げてきたころは、25歳ぐらいで最前線に立っていたのに、今は新卒で入社して、店頭で経験を積んでいたらすぐに30歳代になってしまう。だから経験は浅くてもファッションが本当に好きだという若い人材を引っ張り上げ、自分たちの好きな世界観でブランドを立ち上げてもらう。その熱量さえあればブランドはできるはずだ」と語り、未来を見据える。非公開としながらも、初年度売上高数億円を目指し、ゆくゆくは商業施設にも出店、拡大する計画だという。大澤プレスにブランドの全貌を聞いた。
WWD:どんなブランドになる?
大澤萌夏プレス(以下、大澤):テーマは“自分たちのお気に入りのビンテージ”です。23~26歳のメンバーの特性を生かしてコンセプター、プレス、MD、VMDをそれぞれ務めますが、全員がバイヤー。ターゲットは21~25歳の自分たちの年齢です。
WWD:「ジャーナルスタンダード」とはどうすみ分ける?
大澤:いくつかありますが、一番大きいところで春夏はインポート品の価格を3万円台までと決めてバイイングしました。若い子ってかわいくても高いモノは買えないし、頑張って買うって時代でもないので、“着て欲しい買えるモノ”を提供したいという思いで決めました。私たちも例えば3万8000円ですごく欲しかったら頑張って買う。「カード2回払い」で生活できる価格帯なので、金銭感覚はお客さまに寄り添っています。
WWD:仕入れ品のラインアップは?
大澤:6割がインポートを含む仕入れ、4割がオリジナル商品です。私自身がニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、ニューヨーク(2回目)、ロサンゼルス(2回目)にバイイングに行きました。インポートでも値段に見合うブランドやアイテムをピックアップしています。NYの「タイラー マック ギリバリー(TYLER MC GILLIVARY)」やLAの「323(サン ニー サン)」は、私たちがインスタグラムでフォローしていたブランド。若者ってインスタをすごく使っているので、インスタのアカウントをちゃんと持っているブランドで、デザイナーとも相互フォローしあうっていう密な関係性です。「オリエンス」のコンセプトでもある“好きなものを、好きなように、好きなだけ”にもつながるのですが、今の若い子たちには「私はモード系、私はカジュアル系」みたいなものはありません。真っ黒な日もあればカラフルな日もあるし、系統も無い。だから、いろんなシンプルなモノから派手なモノまで、自分の好きな派手さにできるようにバリエーションを見せます。あとは、「ジャーナルスタンダード」よりもサイジングが小さいです。パンツだと34~36で、「ジャーナルスタンダード」でいうXS、S、Mで展開します。サイズで悩んでいる子が結構多くて。今のセレクトショップのオリジナルって大きめが多くて、身体にフィットしない。だからサイジングも買い付けにいった際に古着を買って、それをベースにパターンに起こしています。
WWD:メンバーにはどんな人が選ばれた?
大澤:トップダウンというのもありますが、単純に選ばれました。私は3カ月だけ「ジャーナルスタンダード」のプレスをやっていて、その前は販売でした。メンバーの五月女君は「同期でおもろ白い子はいるか」と聞かれ、推薦したんです。今日(取材時)もパーカをちゃんと着ないでラベンダーにピンクを合わせちゃうところとか。そういう感性って守りに入るとできないので大事ですよね。
WWD:3月には神南坂にオフィスの入った店舗を構えることになった。
大澤:そうなんです。私たちは店舗にいて、交代制でリアルに販売もします。これまではバイヤーが買ったモノを何人かを介して、最終的に店舗で販売するという感じでしたが、どうしても熱量が冷めちゃうところがあると思うので、その熱量もお客さまに伝えたいと思っています。
WWD:アパレル業界に対してはどう思う?
大澤:なんでこんなに価格戦略ばっかりになっちゃうのかなって思っています。アクティブだからお酒を飲みに行ったりもするけど、そのお酒を飲みに行く場所もインスタのせいで、いい場所が見つかる時代なので。ちょっと高くても映えるために行こうとなると、どうしてもファッションに使えるお金が減る。生活がSNSベースになっているからだと思っています。
WWD:今後はどうしていきたい?
大澤:若い子がどうしてもインスタベースで買い物をしているので、実店舗に来る喜びをもう一度取り戻したいのと、ファッション業界とお客さまの距離感を埋めたいと思っています。今は離れすぎていると感じていて、アパレル側が歩み寄らないといけないと思います。お客さまとの年齢が近いのを武器に、やるからにはやり切りたいです。