2020年春夏パリコレ中に自分で撮影・掲載した55本の動画の中からアクセス数が良かった14本を2回に分けて発表します。Part1の7つは、いずれも個性が強いブランドばかり。ファッションショーは新しい服の色や形を見るだけではなくデザイナーたちの魂に触れる場でもあるから、こういった映像が支持されることは記者としても嬉しいです。ちなみに、1位の「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」の再生回数は2位以下の8倍強とダントツでした。確かに繰り返し見たくなる、非常にエモーショナルなシーンです。
空から服が降ってきた「イッセイ ミヤケ」
「イッセイ ミヤケ」の新デザイナー、近藤悟史さんのデビューショーは成功だと私は思います。モデルが手をつないでクルクル回るフィナーレなどから、1980~90年代の「イッセイ ミヤケ」がフラッシュバックし、そこから同社における三宅一生さんの存在感の大きさを痛感します。だからと言って古く見えるわけじゃない。あの頃イッセイさんが見せていた“手をつないでひとつに”の世界観は今こそ必要なのだと思います。近藤さんの色のセンスが若々しくて◎。中でも天井から服が降りてくるこのシーンは印象的でした。
「セリーヌ」でLISAを追え!
この弊社のソーシャルエディターの情報の取り方は私とは全然違います。隣にいても謎ですがソーシャル上で起きている波を常時キャッチしており、“〇〇のコミュニティーで、この波来ています”と教えてくれます。まさにサーファーが波をキャッチするがごとく。「セリーヌ」でも、BLACKPINKのLISAが来場することを、それこそLISAが韓国を出国する段階からキャッチしていました。会場前にもその情報をキャッチしたファンが大勢!まさに熱波がそこにある、という感じです。ぜひLISAが会場を去る時の動画でその熱狂をご確認ください。
「メゾン マルジェラ」でモード注入
「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」は全ルックの熱量が高く、見るだけで“モード注入完了!”というテンションに。穴が開いた服だからといって、“抜け感がある”とは大違いで、むしろその逆です。モデルも前のめりで速足。特に一番後ろを歩いているハイヒールブーツをはいた彼は、一人で登場した時も凄い迫力で思わず前のめりに。情熱は人を巻き込むのです!
ギャルソンで17歳の自分に戻る
「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」のショーでは派手な格好をした大人が世界中から集まり、“17歳の自分”に戻ったみたいな神妙な表情をしているのを見るのが好きです。パリコレはまぎれもなくビジネスの場ですし、競争の場でもありますが、この20分間だけは特別。なぜ自分がこの仕事をしているのかを再確認させてもらいます。
川久保さんは今冬、ウィーン国立歌劇場で上映されるオペラ「オーランドー」の衣装を手掛けました。先に発表したメンズと今回のウィメンズはオペラで完成するいわば3部作の一部だとか。ちなみに、このオペラを見たさに12月に休みを取った業界関係者を私は2人知っています。
「ジュンヤ」は
トレンチコートを再構築
“このブランドの店に行けば〇〇があるのではないか”と、特定のアイテムを想像できるブランドは強いと思います。“人とは違ったトレンチコートかデニムがほしい”と思ったら、私なら「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」に行きます。今季もトレンチ、デニム、白いシャツ&Tシャツといったスタンダードアイテムをベースに、ウエストラインをきれいにたたんだり、プリーツを加えたり形を再構築したアイテムがそろいます。
「ヨウジヤマモト」で神田川を聴く
最近の「ヨウジ」のショーで気になるのがBGMの一部が耀司さん自身の歌声だということ。その声は少年のように優しいです。さらに今回は「神田川」も流れました。ファッションショーのBGMに「あなたは、もう、忘れたかしら~」なんて聞いたことありません!服がエレガントなだけにそのギャップが日本人的にはツボ。ニヤニヤするな、という方が無理な話です。
人気者「マリーン セル」でemmaと朝の挨拶
この日は一日中、「マリーン セル」の三日月プリントを着ている人を見かけて人気ぶりがうかがえました。モデルのemmaさん、元2NE1のダラさんも来場。似合っています。会場では黒のスタッフコートが気になりました。「あれが欲しい」という声、多そうです。
自然を生かした演出の全貌を知りたくて、ライブ配信を片手にショーを見たのですが、映画のワンシーンみたいですね~。地球の環境破壊が進み地下で生き延びた種族の物語だとかで、デザイナーの妄想力とそれを具現化する力が半端ない!ショーを見て頭に浮かんだのは、「エルメス(HERMES)」+「プラダ(PRADA)」÷2という計算式です。有名ブランドの真似、という意味では決してなく、「エルメス」から受け取る自然を大切にする大らかなメッセージと、「プラダ」が得意とするユーティリティーの両方をそこに見たからです。まだ若いのに、スケールが大きいデザイナーです。