繊維商社のスタイレムは、ソニーが独自開発した素材「トリポーラス(TRIPOROUS)」を使用したウエア提案をスタートさせる。「トリポーラス」は、米のもみ殻を原料とした天然由来の多孔質カーボン素材。大中小のマイクロ孔を持つ独特の微細構造が特徴で、体臭やペットの臭いの原因となるアンモニアガスや酢酸を活性炭の6倍の速さで吸着する高い機能性を持ち、ウイルスや菌を99%以上除去する特性がある。ソニーは今年1月に「トリポーラス」のライセンス供与を開始し、さまざまな企業や研究機関と協業して汚染物質を除去する浄化フィルターやトイレタリーなどに幅広く使用されている。
スタイレムの大川圭二・事業本部ファブリック事業部第1部85課課長は「可能性が高い素材だ。当社が持つ企画開発力と販売力を生かしてまずメンズウエアやスポーツカジュアルに活用し、海外でも販売したい」と抱負を語った。
ソニーはバッテリー電極材料の研究開発の中で、もみ殻が持つ独特な細孔構造を発見し、「トリポーラス」の開発につなげたという。同社によると、もみ殻は日本だけで年間約200万トン、世界中では同約1億トン以上も廃棄されており、山ノ井俊ソニー知的財産センター知的財産インキュベーション部ストラテジーグループ事業開発マネジャーは「『トリポーラス』をアパレル・繊維業界の用途開発に広げることにより、地球環境負荷の低減や循環型社会の実現などサステナビリティに貢献したい」と話した。
ソニーは、2020年1月26日から29日までドイツ・ミュンヘンで開催される世界最大級のアウトドア・スポーツアパレル展示会「イスポ(ISPO)」に初出展し、同ブースでスタイレムとの取り組みを紹介する。