ファッション

時計担当が選ぶ超私的な今年の1本 2019年に一番激しく光り輝いたのは?

 時計担当になって1年半。今年は、1月に“世界一ラグジュアリー”な時計見本市「S.I.H.H.(サロン・インターナショナル・オート・オルロジュリ)」、3月に世界最大の時計見本市「バーゼル・ワールド(BASEL WORLD)」を取材するため、2度スイスに飛びました。スイスに行くのも、時計見本市を体験するのも初めて。世界最大の時計企業スウォッチ グループ(SWATCH GROUP)が去った「バーゼル・ワールド」の凋落ぶりと、噂通り絢爛豪華な「S.I.H.H.」とのコントラストが印象的でした。そして「S.I.H.H.」では、“時計が宇宙(=浪漫)”であることを再認識しました。

※10月に「ウオッチ&ワンダー ジュネーブ(WATCHES & WONDERS GENEVA)」に名称変更

 「バーゼル・ワールド」で扱われるアイテムは実用を意識した数十万円のものが主であるのに対して、「S.I.H.H.」では数千万円、中には数億円の時計も珍しくありません。そんな浮世離れした世界で、オールドルーキーな時計担当のハートをつかんだのが、「エルメス(HERMES)」の“アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ アベンチュリン”(320万円)でした。

 “アルソー(ARCEAU)”は、1978 年にデザイナーのアンリ・ドリニー(Henri d'Origny)が生み出した時計。実は、78年は僕の生まれ年でもあります。この時点でかなり運命感じちゃってます(笑)。

 “アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ アベンチュリン”は、北半球と南半球のムーンフェイズを同時に表現します。2 つのスモールダイヤルがダイヤルの中を1周し、その動きによってマザーオブパール製の月が満ち欠けする斬新なデザインと機構なんです。ちなみに文字盤に使われているアベンチュリンとは、微細な結晶を内包するガラスや鉱石の総称で、これ自体が無数の星がまたたく宇宙を表しています。“腕に小さな宇宙を”とは、時計業界でしばしば用いられる表現ですが、まさにその極み!はっきり言って浪漫しか感じません。

 ちなみに同モデルには、文字盤をメテオライトにした“アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ メテオライト”(320万円)もあります。メテオライトとは隕石のこと。そう、素材そのものに宇宙(の石)を使ってしまっているんです。

 「エルメス」のブースでは、“ギャロップ ドゥ エルメス”にも「かわいい!」を連発してしまいました。馬具の鐙(あぶみ)にインスピレーションを得たものですが、おにぎり型のフォームがラブリーで、価格も41万7000円から。カラー&素材が豊富な点も女子受けしそうでした。

 正直な話、「S.I.H.H.」訪問前は「エルメス」に時計のイメージを持っていませんでした。でもその後の1年間で数百本の時計をタッチ&フィールさせてもらい、あらためてジュネーブで見た“アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ アベンチュリン”が僕の心の中で一番激しく光り輝いているなと感じています。

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