「WWDビューティ」2019年12月26日・20年1月2日合併号は恒例企画のベストコスメ特集。美容ジャーナリストや美容誌・女性誌の編集長、エディター、ライター、メイクアップアーティスト、百貨店化粧品バイヤーなどの協力を得て、19年下半期(7〜12月)に発売された製品を対象に全18部門で「WWDビューティ 2019年下半期 ベストコスメ」を選出した。
ビューティ分野の潮流の一つである“多様性”。性別に囚われないジェンダーレスな香りを発表したディオール「メゾン クリスチャン ディオール」、イヴ・サンローラン「リブレ・オーデパルファム」「シロ パフューム」がランクインした。
1位 ディオール「メゾン クリスチャン ディオール スパイス ブレンド」
石井美保/美容家
何種類ものスパイスが折り重なって、まるで上質な毛布にくるまれたかのような温かみを感じる香り。優しく包むような女性らしさと、炎のようなパッションを併せ持ちながら、時に颯爽とした凛々しさも見え隠れする多面的な魅力が大人の女性にぴったり。
入江信子/美容エディター・ライター
ストレートでわかりやすい女っぽさとは一線を画す、一筋縄ではいかない色香が今風。スパイスやラムのノートのブレンドで表す、力強く引き込むような香り立ち、肌の匂いに溶け込む色っぽい後口に、本来「媚薬」であるべきフレグランスの新しい方向性が示されている。
梅田美佐子/宝島社「アンドロージー」編集長
女性らしいフローラル系の香りが一段落して、今年はスパイシーでウッディーな香りがトレンドに。「かわいいイメージの香りを卒業したい!」、そんなときに出合った大人のためのフレグランス。シャープさと深みのバランスがとってもいい。
加藤智一/美容ジャーナリスト
このシリーズは、透明感のなかにそれぞれの個性(香り)が浮遊するように香ることが特徴で、非常に心地よい。しかも、オードパルファンなので香りがほのかに続くのもセンシュアル。スパイスブレンドはモロッコのスーク(市場)のなかにいるような、甘く官能的なスパイシーさが癖になる。
2位 イヴ・サンローラン
「リブレ オーデパルファム」
加藤さやか/CCCメディアハウス「フィガロジャポン」シニアエディター
ファッションフレグランスからもジェンダーレスをうたう香りが登場したのがニュース。ラベンダーとフェミニンなオレンジブロッサムで、ハンサムな香りになる不思議。力強いボトルも印象的。
藤井優美/美容エディター
変な甘さはなく、きりっとしていながらも温かみのある、まさに多様性を持ち合わせる現代人にぴったり。決してこれ見よがしに香るわけではないのに、自分の存在意義を高めてくれるような香りは、ここぞというときにパワーを与えてくれるよう。
3位シロ「シロ パフューム」
倉田真由美/美容ジャーナリスト
どちらかというとライトなフレグランスが得意で、若い人向きといった印象だった「シロ」が、本格的なパフュームを作るとこうなるというラインアップ。世界の著名なクリエイターを起用し、花や植物といった香りだけではなく風や空気、水などを感じさせるのがいい。一つ一つにストーリー性やメッセージ性があり、ジェンダーレスなのも今という時代にフィットしている。これからの「シロ」の方向性をも示唆する存在。
巽香/美容エディター・ライター
フレグランス作りに対するブランドの“本気度”が感じられる完成度。それぞれにストーリーを秘めた香りは、どれもイマジネーションを掻き立て、情景までもが目の前に広がるよう。誰の個性にもきっと寄り添いながら、魅力を引き立たせてくれるものが見つかる。
松井朝子/ハースト婦人画報社「エル・オンライン」ビューティデスク兼「エル・ジャポン」編集長代理
ブランドリニューアルとともに発売されたパフュームラインは、世界各国のクリエイティブなパフューマーたちが手掛ける本格的なラインアップ。一つ一つの個性が際立った世界基準のパフュームが一度に12種もそろっていて驚いた。個人的には「スパイス オブ ライフ」がお気に入り。
松本千登世/美容エディター・ライター
世界各国のパフューマーが自身の記憶から紡いだという香り。水を一切使わず、代わりに徳島の木頭ゆずと北海道のエゾヨモギの蒸留水を使うというこだわり。特に「パリジャン シャツ」のジェンダーレスムードは、トレンドでありばがら本質そのもの。独自のセンスに感動!
渡辺佳子/美容ジャーナリスト
世界各国のパフューマーの12の作品にはそれぞれ“Take It Easy(お気楽にね!)”などの興味深いネーミングとストーリーがあって、香りを楽しむためのいいアプローチになっている。素材的にも、水ではなく徳島県の木頭ゆずと北海道のエゾヨモギの蒸留水を使っているのも「シロ」らしさ。
吉田薫/東急百貨店 ファッション・雑貨統括部 第二ショップMD部化粧品担当
男女問わず、使いやすい香りが特徴。人を選ばない香りが多く、プレゼントにも最適。
54人の「WWDビューティ 2019年下半期 ベストコスメ」選定委員 ※順不同、敬称略
【美容ジャーナリスト】海野由利子、加藤智一、倉田真由美、近藤須賀子、斎藤薫、永富千晴、吉田昌佐美 、渡辺佳子 【美容エディター・ライター】安倍佐和子、AYAYA、猪狩幸子、入江信子、宇野ナミコ、大塚真里、小川由紀子、片岡えり、平輝乃、巽香、近内明子、中込久理、藤井優美、松村有希子、松本千登世、渡部玲 【美容家】石井美保、岡本静香、神崎恵、小林ひろ美、深澤亜紀、山本未奈子 【メイクアップアーティスト、ヘア&メイクアップアーティスト】KUBOKI、藤原美智子、MICHIRU、村松朋広、山本浩未 【百貨店化粧品バイヤー】入月雅子/三越伊勢丹 化粧品統括部MD、岡部麻衣/三越伊勢丹 化粧品MD統括部マーチャンダイザー、金川いずみ/阪急うめだ本店ビューティー営業統括部化粧品商品部アシスタントバイヤー、寺本知香/松屋 婦人一部MD課バイヤー、望月美穂/大丸松坂屋百貨店 営業本部 MD戦略推進室 化粧品 部長、吉田薫/東急百貨店 ファッション・雑貨統括部 第二ショップMD部化粧品担当 【メディア】梅田美佐子/宝島社「アンドロージー」編集長、加藤さやか/CCCメディアハウス「フィガロジャポン」シニアエディター、木津由美子/ハースト婦人画報社「ハーパーズ・バザー」編集長代理、桐野安子/光文社「美スト」編集長、高橋絵里子/講談社「ヴォーチェ」編集長、中西陽子/マガジンハウス「アンアン」キャップ、松井朝子/ハースト婦人画報社「エル・オンライン」ビューティデスク・「エル・ジャポン」編集長代理【その他】岡部美代治/ビューティサイエンティスト、SAKURA/モデル・ビューティジャーナリスト、曽田啓子/ビューティービジネスプロデューサー、貴子/松倉クリニック代官山・院長、中嶋マコト/モデル・ビューティジャーナリスト、野毛まゆり/美容愛好家
《選定方法》
2019年7~12月に発売された化粧品(リニューアル発売・新色追加を含む)を対象に、選定委員55人が「スキンケア部門」「ベースメイク部門」「ポイントメイク・目元部門」「ポイントメイク・リップ部門」「ポイントメイク・その他部門」「ヘアケア部門」「ボディーケア部門」「インナーケア部門」「美容機器・ツール部門」「フレグランス部門」「新知見部門」「オーガニック・ナチュラル部門」「プロダクトデザイン部門」「ドラッグストア&バラエティーショップ部門」「ADビジュアル部門」「イベント部門」「ストア部門」「ブランド部門」の計18部門で1~3位を選出。1位を3ポイント、2位を2ポイント、3位を1ポイントで集計し、合計ポイントで順位を決定した。なお、「イベント部門」「ストア部門」は5~9月末までの開催・オープンを対象とした。