「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第1回目の「ネクストリーダー 2018」では14人を選定した。(この記事は2017年12月13日に掲載した「WWD JAPAN.com」からの抜粋です)
小泉智貴/コスチュームデザイナー、「トモ コイズミ」デザイナー
WWDジャパン(以下、WWD):衣装デザイナーになったきっかけは?
小泉智貴(以下、小泉):幼少期から母親の影響でファッションに興味を持っていました。中学時代からしばらくはジョン・ガリアーノ(John Galliano)のデザインに夢中でした。彼の作るファンタジーの世界に感動して、自分も感動を与えられるモノ作りをしたいと決心しました。中学生の時にクリスマスプレゼントにミシンを買ってもらって独学で縫製を始め、高校時代も文化祭でファッションショーを企画したり、デザインコンテストに入賞したこともあります。当時はファッションデザインとファッションマガジンの両方に興味があったので、どちらも学べる美術系の学部に進学しました。
WWD:ブランドを立ち上げた経緯は?
小泉:大学在学中はファッション系のサークルに所属して、年に数回ショーや展示会で作品を発表しました。スタイリストの北村道子さんなど、さまざまな方の現場にお手伝いにも行きました。就職活動を始める頃にリーマンショックが起こって、「大手企業でも安定しないなら、やりたいことをやろう」とスタイリスト兼衣装デザイナーになることを決めました。大学4年の時に、自分がデザインした服を着てクラブに遊びに行った時にスナップサイトに掲載され、「ザナドゥトウキョウ(XANADU TOKYO)」の本橋達郎オーナーから連絡をいただき、取り扱い開始と同時にブランドを立ち上げました。もともとシニカルなデザインが好きだったので、ブランド立ち上げからまもなく女優や歌手の方に着用していただいたり、雑誌で取り上げていただけるようになって、カスタムメードの衣装のオーダーをいただくことが多くなり、主な仕事になっています。
WWD:衣装デザイナーになってからのターニングポイントは?
小泉:1つ目は、大学在学中にPerfumeの衣装を作れたことです。初めてのアーティストの衣装デザインがPerfumeさんでした。自分のデザインが憧れているアーティストの方々に使ってもらえる喜びは大きな自信につながりました。2つ目は、2016年にレディー・ガガ(Lady Gaga)が来日した際に衣装を着用してくれたことです。その後、アジア圏やヨーロッパからの注文が入るようになって、反響の大きさにとても驚きました。
WWD:今後の目標、夢、野望などを聞かせてください。
小泉:ドレスのデザインが大好きなので、ブライダル業界で力を発揮できたらいいなと考えています。特別な日に、特別なドレスを着る幸せを提供できたら最高ですね。あとは来年30歳という節目を迎えるので、自分へのバースデープレゼントのような、新しいコレクションを発表予定です。自分は、マルチにデザインし活躍できるデザイナーだとは思っていません。ですが、作った物で人の気持ちを明るく楽しくすることができると思っています。たとえそれが日常的に簡単に着られるものでなかったとしても、写真や展示、衣装を着用したパフォーマンスなど、見て楽しむことができます。そして、それによってエネルギーを得て、幸せな気分になってもらえたら、それが自分の幸せにもつながります。たくさんの人の幸せにつながる、ロマンチックでドラマチックなモノ作りをこれからもしていきたいです。