「WWDジャパン」は、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた企画「ネクストリーダー」を実施している。今回で3回目を迎えた同企画の対象者は、ファッションビジネスに関わるあらゆる分野の若きリーダーたち。情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進むネクストリーダー10組を紹介する。
メンズブランド「オールモストブラック(ALMOSTBLACK)」は“ポスト ジャポニスム”をコンセプトに掲げ、デザイナーの中嶋峻太と川瀬正輝が影響を受けてきた日本のアートの要素を取り入れた服作りが特徴だ。テーラードやミリタリー、ストリートウエアなどあらゆるメンズウエアの要素を融合し、再構築して、時には美しいアート作品のように、またある時にはカルチャー色の強いストリートウエアに仕立てる。振り幅の広さに対してクリエイションには一貫性があり、大手百貨店やセレクトショップからの信頼も厚い。18年には普遍的デザインにこだわった「プロダクト オールモストブラック(PRODUCT ALMOSTBLACK)」を立ち上げ、ビジネスも好調。同年には法人化し、19年からは中嶋が「オールモストブラック」を、川瀬が「プロダクト」をリードする分業制にした。多くの日本人デザイナー同様、彼らはこれまで自身についてあまり多くを語りたがらなかった。しかし、20年に満を持して海外進出するタイミングで、それぞれのルーツや気持ちを外に発信していきたいという。ラフ・シモンズ(Raf Simons)の下で経験したこと、共通の恩人のこと、そしてブランドの未来のこと——内に秘めた個を表に出す決意の裏側には、2人の強い思いがあった。
2人を育てた、2人の師
WWD:経歴が異なる2人はどのようにして出会った?
川瀬正輝「プロダクト オールモストブラック(以下、プロダクト)」デザイナー(以下、川瀬):ファッションと音楽がとにかく好きで、いつかはブランドをやりたいと思っていた。学生時代に雑誌で坂田真彦さん(アーカイブ&スタイル代表)を見て幅広い知識やスタイルに憧れ、坂田さんが当時ディレクターを務めていたアパレル会社に入社した。そこで中嶋と出会った。
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