ファッション

「ニコアンド」が中国本土初店舗を上海に出店 フードホールでEC大国に挑む!

 アダストリアの「ニコアンド(NIKO AND…)」は12月21日、上海に中国本土初となる店舗をグランドオープンする。東京でいえば渋谷や新宿のような商業一等地、淮海中路の路面立地で、道を挟んで向かいは「無印良品」、「ユニクロ(UNIQLO)」の旗艦店もすぐそばだ。1〜3階までの3層の作りで、売り場面積は2600平方メートル。「ゆくゆくは旗艦の原宿店よりも大きな売り上げを取っていく」(北村嘉輝取締役営業統括本部長)と意気込む。

 同社は今秋までに、最多時で40店近くあった中国本土の店舗を一旦全て閉めている。今回の「ニコアンド」は中国事業の仕切り直し後1発目の出店。このために6月から北村取締役は現地に駐在し、ネットワーク作りなどの準備を進めてきた。

 雑貨を豊富にそろえ、ライフスタイルを打ち出す手法は日本の「ニコアンド」と同様だが、日本にはない提案として切り札にするのが3階のフードホールだ。「中国に出店すると決まった際、絶対に飲食をするべきだと思った。上海ではどこのショッピングモールでも飲食店は軒並み混んでいる。中国市場はECが強いが、飲食の体験はECでは提供できない」として力を入れる。現地の飲食企業と組み、ピザ、ステーキ、サラダ、パスタなどのフードのオリジナル業態を開発。フードホール内にバーも設けた。

 1階はウィメンズアパレル、カフェ、雑貨、2階はメンズ、雑貨、家具などが中心。 ブランドの強みである、さまざまなジャンルのコラボレーションはもちろん上海でも打ち出していく。オープンに合わせて仕掛けているのは、「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」とのコラボ。また、社内コラボとしてメンズブランド「ハレ(HARE)」が2階にポップアップストアを開いている。現地で人気のお茶の店との協業メニューをカフェで出したり、上海発のストリートブランドを仕入れたりするなど、上海ならではの取り組みも強めていく。

 中国では、アパレルのEC化率は25%前後ともいわれている。「だからこそ、新しいものに出合えるという実店舗ならではの価値を提案したい」と、ワークショップなども積極的に計画していく。ECはウィーチャット上で起動するミニプログラムを通して2020年2~3月に開始する予定。中国でアパレルECといえばアリババの「Tモール」が強力だが、「『Tモール』はブランド数が多すぎる」として、ひとまずは出店せず様子を見るという。

 販売員は物販で50人、飲食で30人。一等地ゆえ家賃も高いが、「初年度から黒字は狙えると思っている。ライフスタイル業態は中国ではまだそんなに多くない。ここでイメージを打ち出し、一人一人ファンを作っていく」。かつての中国事業の苦戦は、「ここ数年で中国市場は激変したのに、それに対応できず、ただ物を売るだけの店を出していたから」だと分析。それを踏まえ、「この店もずっとこのままでいいとは思っていない。スピードの速い中国に対応するために、われわれ自身もどんどん変わっていかないといけない」と強調する。2号店の出店は未定。数を追求するような出店はせず、「1~2級都市に、ブランドの世界観がしっかり表現できる店を出していきたい」。

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