ブランド史上最高にサステナブルなコレクションになったという「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」の2020年春夏コレクションは、「循環性」という意味合いもある「サーキュラー(Circular)」がキーワード。それにちなみ、円形モチーフをウエアだけでなく、バッグやシューズにも多く取り入れた。
バッグは、太鼓のような形や半円型、植木鉢型など、丸みを生かしたデザインが印象的。ストラップには、ロゴや柄を織り込んだ太いテープベルトのようなパーツを合わせた。また、新作のクロシェ編みのバッグなど編みを駆使したアイテムは、昔ながらの手仕事を生かした工芸的なディテールがカギとなった春夏トレンドにもマッチしている。素材は、黒や茶、オフホワイト、オレンジ、柔らかなピンク、ニュアンスのあるブルーといった色合いの人工レザーに加え、これまではクオリティーを担保するのが困難なため生産が難しかったというラフィアを積極的に採用。新型モデルに用いたほか、アイコンの“ファラベラ”も大胆にフリンジを配した編み込みデザインでアップデートした。ラフィアのバッグは、マダガスカルの女性職人たちが現地で調達された素材を使い製作している。
シューズは、フラットソールやローヒール、もしくは厚底で提案。中でも目を引くのは、丸いアイレットとロープのような太いシューレースを配したローヒールの編み上げブーツサンダルだ。スポーティーなサンダルやエスパドリーユサンダルは、バッグのストラップ同様のロゴ入りテープがポイントに。スニーカーは、スケルトンのアッパーやボリュームのあるソールなどを用いたモデルから、クラシックなバスケットボールシューズまでをラインアップ。ウエアにも見られたステラ自身が撮影したという花畑の写真プリントは、スニーカーやサンダルにも落とし込んだ。さらに、木製のミッドソールとシャークソールを合わせた定番の厚底シューズ“エリス”には、アッパーにラフィアの編み込みを生かしたスタイルが登場した。
JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。