※この記事は2019年6月20日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
サステナブルなコレクション、良し悪しの決め手は?
2020年春夏ミラノ・メンズ・コレクション一番のトレンドは、サステナブルでした。いや、「トレンド」と片付けちゃダメなことは、わかっています。けれどついつい「ブーム」と思ってしまうくらい、今シーズンはあらゆるブランドが環境問題と対峙。サステナブル素材を使ったコレクションには、もう驚かなくなりつつあります。
それぞれ地球環境を考えた上での提案ですから、すべてに価値があると思います。でもこの世界には、やっぱり出来・不出来、売れそう・難しそう、良い・それほど良くないコレクションがあるもの。サステナブルなコレクションだって、同様です。
では、“良いサステナブルなコレクション”の基準って、一体なんでしょうか?再生原料の割合?環境に優しい素材や染料、加工?生産過程における二酸化炭素排出量?さまざまあるでしょうが、一番は「“自分ごと”として共感できる」な気がします。
例えば「フェンディ(FENDI)」はガーデニングをテーマに、まるで日曜の昼下がりのように穏やかなムードのワークウエアを発表しました。朝一番の公園で発表したのは、これまでの「フェンディ」のように目に飛び込んでくるキャッチーではなく、心に染み入るピースフルなコレクションです。人は誰しも休日には心穏やかに、自然と戯れ、植物を愛でたくなるもの。「フェンディ」は取り立ててサステナブルやエコを前面に押し出していませんが、ゆえに共感しやすく、難しい哲学や目を背けたくなる現実さえちょっとだけ自分に近しい存在に変わります。
インクルージョン(包摂・包括性)やダイバーシティー(多様性)と一緒です。CSR(企業の社会的責任)と捉え取り組んでしまうと“シンドい”問題も、“自分ごと化”できると共感できて積極的に向き合えます。サステナブルをどう“自分ごと化”してもらい、頭で理解するのではなく、心で共感してもらって購入していただくか?サステナブルを謳う企業・ブランドこそ、メッセージを押し付けるのではなく、消費者の気持ちに寄り添う姿勢が必要なのです。
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